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ふらみいの、とうかの、言葉吐しと成長録
誕生日に弟からもらったBlu-rayの中に、これがあった。
“ダークファンタジー”というところで、わたしが気に入るんじゃないかと思って買ってくれたらしいので、早速視聴。

あらすじとしては、
1944年のスペイン、山中のゲリラ狩りを行う大尉と再婚した母親にくっついて、主人公のオフェリアは大尉の山荘へやってきた。
周りは軍人ばかりの物々しい雰囲気で、身重の母親はこれ以上の旅はできない。
重苦しい日々の中、オフェリアはナナフシを見つけ、妖精の姿を教えた。その場で姿を変えたナナフシは森の奥の迷宮へとオフェリアを連れていく。
そこで出遭ったパンという存在に、「あなたは魔法の国の王女だ。いつか戻ることを信じていた。満月の夜までに試練を乗り越えなさい」と言われ、一冊の本を渡される。
かくしてオフェリアの試練は始まった……

と、こんな感じ。
音楽は所々ファンタジーなのに、雰囲気が暗い。
ダークファンタジーらしく、代償もつく。
近くで軍人とゲリラがドンパチやってるもんだから、人の死も珍しくないのです。
ファンタジーというと、楽しくてきらびやかな雰囲気の美しい世界を思い浮かべることが多いけど、こちらは現実に即している所為か、どこかどろどろして真っ暗なのが逆に良いですな。

それを代表するかの様に、妖精達の姿がなんだか気持ち悪いね!!!
虫が絵本から着想を得て象ったものだから、妖精と言われればそんな気も……
とはいえ、妖精は本来あぁいう存在なのかな。
パンも角がどう見ても悪魔の角で、それ信じていいの? って思ったけど、あんな存在が出てきて「あなたは王女だ」と言われたら、そらー信じたくなるわな。

主人公のオフェリアが空想大好きで、虫や異形を恐れないところが、真のファンタジー好きって感じがして好印象でした。
それから、給仕のメルセデスね。オフェリアの空想を否定することなく、ただ受け入れているところが良い。
対を成すように冷酷なのが、大尉。自身の怪我も厭わず、誰を殺すも容赦なく、本当に血も涙もない人に見える。軍人だから、それが当たり前なのかもしれないけど。
キャラクターの性格とか置かれた立場がハッキリしているから、物語がよく動いていたのだと思います。

音楽はファンタジー色を感じることもあるけど、基本的に暗い……かな??
わたしにとっては好きな方の曲調なので、あまり暗いとは思わなかったのですが。
本を読み始めた時の曲とか、好きだなぁ。


一般的に見れば、あまりハッピーエンドとは言われなさそうな作品なので、人に勧められるかどうかは……うーん、びみょーなとこです。
ハリポタとか指輪物語を好きな人には良いのかもしれない??
ファンタジーだけど、エグいデザインのクリーチャーも出てくるので、グロテスクが嫌な人には向かないかな。あと拷問やら痛い場面もあるし。

メリバといえば、そうかもしれない。
わたしはこういう終わり方好きです。

以下、ネタバレなので隠しておきましょう。





うーん、こういう終わり方ほんと好きね!!
現実は辛いことばかり、夢を見れば楽しいことばかり。
しかし、オフェリアが信じた妖精達はちゃんと残酷な面も持っておりましたな。
そう、自由を手に入れるには代償が必要なんだ。
オフェリアこそが無垢な存在であると思えば、あの終わり方で良かったと思う。
現実のこの先を生きていこうとしても、メルセデスと共にゲリラに身をやつす日々だしね。
それが彼女にとって幸せかどうかも解らん。

優しい父親の後、大尉はあまりにも冷酷だったのでしょう。
あと躾にも厳しい感じ。けど、あれはオフェリアが左手を差し出したのが悪かったのではなかろうか。
部下にも反対勢力にも冷たくて、軍人らしいといえばそうだけど、あまりにも人間味が無くて恐ろしい人物でしたな。
けど、最後に見せた「私の息子に父が何時に死んだか教えてやってくれ」の辺りは、あの人が息子に見せる情の一欠片なのかな?
勇ましい軍人の息子として育てたかったのでしょうが。

母親が報われないよなー…。
あれ、やっぱりマンドラゴラが死んでなかったら、彼女も生きてたのかな。
オフェリアが聞き分けないのを悩んでいたし、旦那が自分に愛が無い(ように見える)ことを悩んでいたし。
それで待望の出産ときたのに、子を忘れ形見として亡くなってしまうなんてなぁ。

そんな現実が続けば、オフェリアが夢を見るのも仕方ない。
妖精の存在を信じて、自分が王女であると信じて、最後に自分の血を垂らすことで門を開いた。
弟を殺すことなく、人間である自分の生を以て、王国に還ることができたんだね。
彼女のなかではハッピーエンドだ。そういう話良いよね。

だけど、迎えにくると約束したのにオフェリアを助けられなかったメルセデスは辛いだろうな。
彼女が弟を抱いて自分を捜して大尉から逃げていた、と思ったのだろうか。


しかし、クリーチャーに力の入った作品だな!
途中の晩餐会に1人でいた奴とか、サイレントヒルから出演したのかと思うほど。
目玉を嵌めて、おどけた姿で目の役割を果たしていたけど、そんなのおちゃめに見えない。とにかく気持ち悪い。
ここで禁忌を破る辺りが、オフェリアがまだまだ子どもであることを示しますね。
子どもって、だめだよーって言われてても、ちょっとくらいなら〜ってやっちゃう子の方が多いよね。
それをパンに無茶苦茶怒られてたけどね。

オフェリアは虫やクリーチャーに対して、あまり恐れを見せないのだね。そこが不思議。
特に、大樹の洞に入って蛙に魔法の石を呑ませる辺りとか、泥だらけになって、虫が自分の身体を這っていても、大して騒がなかった。
そういうところが普通の女の子と違ってて、見ているこっちが「マジかよ……」と思うくらいだ。
でも、森の中の王国だからね、虫とか多いだろうね。泥も然り。汚れてなんぼの世界よね。
そういうとこ現実的で、半端な夢を見せなくていいなって思いました。

そう、夢らしい夢を題材にしているのに、現実的ですな。
エグいものも、恐ろしいものも、気持ち悪いものも、ちゃんと描いてある。
これこそがダークファンタジーというのでしょうか。虫が出ればダークファンタジーってわけじゃないだろうけど。

見どころというほどのことはないけれど、面白い作品でした。
弟に感謝。

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