ふらみいの、とうかの、言葉吐しと成長録
という映画を観たんだ!
先日のニーアショック(と言う程でもないけど)から立ち直って、「何かえぐい映画を観たいなぁ」と思い、また探し始めた。
巷で「後味悪い映画」に選ばれている中で、あまり名前を見かけなかったので、可もなく不可もなくといったところなのかな? と思い、こちらを鑑賞することに。
あらすじとしては、
バカンスを楽しもうと別荘地にやってきた、とある一家。
湖にボートを出して、片付けをして、さぁのんびり過ごそうという時に、上から下まで真っ白な服を着た奇妙な青年に「卵を分けてくれ」と言われました。
奥さんは気前よく卵を渡すけれど、二度にわたって台無しにされ、携帯電話も水没させられ、だんだんと苛々してきます。
いつの間にかもう一人、青年が入ってきて、最初は普通と思われていた青年二人は徐々に理不尽な物言いで一家を追い詰めていきます。
それこそが、青年二人の”ゲーム”だったのです・・・・・・
と、そんな感じであった。
最初は家族のほのぼのストーリーみたいな演出していたのに、タイトル出る時のBGMが予想外過ぎて笑ってしまった。
落差が激しいんだよ、クラシックじゃないのかよ!
でも、随所で感じる不愉快さや苛立ちなどは、監督に仕組まれたものだということで。
確かに所々で「何でそうするんだよ」とか「今だ、今しかないんだ!」と思わせぶりな場面や、好機と見える瞬間があるのだけど、そのことごとくが潰される。
その潰され方と、一家が味わう理不尽さ、絶望感がとてもリアルなものに思えるところが、この映画の魅力なのかなぁ。
わたしは主人公補正の掛かっていない話の方が好きみたいで、メリバじゃなくても、そういう路線であればいいみたいだ。これ観て解ったわ。
今回の映画は悪役とされる青年二人に補正が掛かっているような感じで、上手くいかないんだよなぁ、一家のやることなすこと全部覆されるんだよなぁ。
それから、間を持たせているところが多いので、テンポの悪さは否めない。
絶望して放心している状態とか、現実で考えれば急に頭を切り替えるなんて無理だけど、映画とか娯楽に於いては無駄な時間と捉えられて、観客が苛立ってしまうんだね。
実際、他の方の感想を読んでみると「苛々した」とか「この間は要らない」とか、展開は面白いけど冗長で飽きがきてしまうところが勿体ないと思われているみたい。
わたしは嫌いでも好きでもないな、リアルだなって思うだけでした。
やっぱり人にお勧めはできませんが。
そうそう、わたしが観たのはリメイク版? らしくて、オリジナルがあるらしい。
そっちは本当の夫婦が演じているとかで、演技がすごいのだとか。
でも、構図やら演出やらがほぼ同じらしいので、よく調べてからオリジナルを観るんでも良かったかなぁと思っています。
これはこれで好きだけどね、うん。
以下、一応ネタバレありの感想です。
なんていうのかね、彼らはクズなんだけど、文字通りのクズではないんだよな。
語感としては「屑」だろうか。でも、非難する気も失せるほど、恐ろしいんだよ、彼らは。
先ず人を殺すことを、息をするのと同じようにやってみせる。誰かに何か起きていても、まるで気にしない。
そのあっさりと殺してしまうところが、いっそ清々しい。最初からこういう人間だったんだなって思えて、そこがまた怖い。
「人類の敵はつまるところ人類」とは、よく聞く台詞なんだけど、同じ言語を遣っている筈なのに話が通じない人間が一番怖い。
そして、サイコパスと俗に呼ばれるような連中に、常識だの他者の心情だのは一切通じない。自分のことだけで、そこに悪気が無い。
このへんが、「悪の経典」を思い出させました。
あれも、サイコパスの気質を持った先生が、自分の理想のクラスを作る為に、邪魔者を排除していったからねぇ。そこに躊躇が無くて、「この荷物があると邪魔で通れないからどかす」程度で人を殺せるとこが、すごかったんだよ。
この青年二人の生い立ちとか何も解らないけど、どうして一緒に行動しているのかも解らないけど、人を殺すことに躊躇いが無いな。
自分の言っていることが可笑しいとか微塵も思わないし、大して欲が無いように見える。いや、食欲はあったか。
そう、一家の奥さんが脱がされる場面があったけど、強姦するようなことも一切無かったな。
そこが逆に不気味なんだよ、あそこで強姦ってなったら安直だけどまだ人間らしく感じるのに、「服着ていいよ」とか言うんだもの。本当に目的が「奥さんの身体に無駄な肉は無いのかどうか」だけなんだもの。
或る意味では純粋なんじゃないか、と思えるんだが、巻き込まれた方は堪ったものではない。
その純粋さは「オールナイト・ロング3」を思い出させる。たったそれだけの存在だろうか、そうだろうか。
全編通して、一家は無力だ。そこがリアルだ。父親は膝の皿割られたし、奥さんも縛られたり殴られたりしてるから、たかだか青年二人だけど、抗えないんだよ。
「そこで立ち上がれよ!」という勇ましい感想をたくさん見てきたけど、実際、骨折したら意識がトびかけるし、殺される恐怖に立ち向かうなんて日常にそういう場面が無ければできないし。
自分だったら~なんて考えたところで、現実になってみなければ、その時の気持ちや行動なんて解らんものだ。それを知っている人は少ないのかもしれない。
うーん、そこがちょっとなぁ。まぁ、平和なのでしょう。
暴力は理不尽に、突然に、理由なく訪れる――と、思う。
んで、ご都合主義な展開も、本当は無いんだよってのがよく解る。
それはやはりあそこですよ、例のリモコン使うところですよ!!!
なんだよ、あのリモコン! 急にリモコン探すから何かと思ったら、巻き戻しかよ!!
そこで一転してギャグみたいに感じたけれど、これが主人公側(感情移入しやすい側?)に起きていたら、どう思っていたのか。
ご都合主義に感じたろうけど、「これで反撃だ!」とか勢いに乗っていたかもしれない。
そういった”主人公だからこそ起きる奇跡”みたいなものが、青年二人に起きる。一家はただただ絶望するばかり。
究極のリアルだと思うんだよな、それって。現実はあんなに上手く噛みあわないんだよ。
助かると思っても駄目だし、いけると思っても無理だし。
こういう映画、もっと観たいなぁ・・・・・・。
映画だからって安心して観ている部分もあるんだけどね、うん・・・・・・。
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