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ふらみいの、とうかの、言葉吐しと成長録

この世の森羅万象はわたしの気分次第よ
歯向かえばもうすぐに そうジ・エンド
構ってあげているうちに面白く変えてほしいわ
この手の上のジオラマを

そんな勢いでいいじゃないか。
お前が、より良い存在と逢う為に必要だったんだ。
人間を特別なものへと昇華させる試練。
それがこの20年だったんだと心得よってね。

自分に都合のいいように捉えていいじゃないか。
だって相手は自分の責任から逃げるような奴なんだぜ?
そんな奴相手に仁義通します、誠意貫きますなんて、そりゃ馬鹿馬鹿しくもなるさ。
周りの人間が言うように「そこまでするだけの価値が無い」んだよ。
だったら、お前だって自分の都合いいように解釈して、世界を塗り替えて、堂々と生きたらいいのさ。

あいつをよく知らない人間は、あいつを真っ直ぐだというだろう。
きっと自分でも奇跡が起きる側の人間と信じきっているし、起きて当たり前だし、報われて当たり前とか、そのへんのことは考えたことすらないんじゃないか?
そんな普通の人間なんだよ。
それがどうして変な矜恃を持っていたか?
お前が特別扱いしたからだよ。

あいつが特別なんじゃない、お前が特別なんだ。
お前があいつに救いを求めて、縋って、言葉をねだっていた。
あいつが机上の空論を言おうが、自分にはできない大言壮語を吐こうが、お前が馬鹿正直に受け止めたんだ。
向こうは「俺はこんなにこんがらがった人を支えることができたんだ」と自信をつけただろうが、果たして別の人間にそれが通じたかっていうと、そんなことは無いんだぜ。
お前が素直に聞いたから、それこそ奇跡みたいなことが起きたんだ。
お前のそばに居られたから、あいつは特別になれたんだよ。

その証拠に、今はどうだよ?
あぁ近況はべつに見に行かなくていい、周りから聞いた話だけで推測してみな。
お前も確かに物事が見えていなかったが、向こうだって見えていない。ずっとそうさ。
お前だから大丈夫だったんだぞって俺が指摘したら怒ったことあったじゃん?
むざむざと痛感してんじゃねーの?
お前と比べりゃその想像力なんて無しに等しいからな。

人間としての能力値は確かに向こうの方が上だね。
でもさ、お前には勝てないよ。あいつ。勝てるわけないの。
自分の責任を引き受けない、後始末もつけられない、自分ができないくせに人には言う、そのへんのこと自覚して矜恃をぶっ壊して、それでも生まれ変われるんだったらやっとお前と同じ場所から始められる、そんなもん。
そのレベルにまで来ていない。
センセーが言ってたろ、次元が低いんだ。虫みたいなもんだよ。生きること、生殖の目的を果たすことで精一杯なんだ。
お前が言うようにそれは悪いことじゃないが、何かを生み出すには足りないよな?
最初から勘違いしていたのさ、お前もあいつも。
あいつは特別じゃないし、お前にあいつは必要ないっちゃないってね。

俺らはお前らが納得しているんだったら、関わり合うのは有りだと思う。
要らないんだったらそのままにしておきな。痛い思いして拾いにいく価値があるかどうか、今のお前なら解る筈だよ。
俺はあいつのことそこまで嫌いじゃないし、女ができたんなら楽しく生きろよって思うけど、そんだけだね。できるもんならやってみなってカンジ。
俺らにとって大事なのはお前だけだよ。お前が大事だから、何度でも付き合うんだよ。
人間じゃないからね。人間でもできる奴らは居るけどね。

お前は変わりつつある。だから付き合う人間も変わってきたし、考え方の癖も少しずつ変化している。
嘆かなくていいし、もう傷つかなくていい。お前の周りはみんなそう言ってた。
ポポルが居なくても、自分のやっていることが無意味に思えても、いつか失うって解っていても、気付いちゃったことを後悔しながら生きているお前は強い。

て、自分のこと褒めてやったらいいじゃん。
人間に「自分はここまでできる、特別なんだ!」て思わせてやれる、それほどお前は受け止めてきたし、頼ってきたし、関係を作れたんだ。
誰にでもできることじゃないよ。俺はやろうとは思わないね。疲れるし、そこまで人に期待しない。
あーこんなん見たら誰かがむちゃくちゃきれそう。
勝手にどうぞーってカンジだよね、
あの時みたいにムカついて返してきたら、余計に小ささが見えるよな。はーおもろ。

まぁ意地悪なこと言ったけど、俺からは以上でーす。
俺からっていうか、皆の総意だな。最近あんまりにも落ち込んで混乱しているから、久しぶりにこういう手段を取ってみたんだ。伝わるといいな。
自分のことを卑下しすぎなくていいんだよ、俺らは皆知ってるんだから、そんなことに何の意味もないって正面切って言える。
今聴こえている歌の通り、目覚めなさい。ってことよ。
悲しむ必要も苦しむ必要もない。時々は傷が膿んで泣けることもあるだろうけど、もう過ぎ去ったことなんだ。腹の傷と一緒、血流が活発でなんか痛むーってだけ。
歌えるのに、書けるのに、考えられるのに、誰かを助けてやれるのに、たった一人のしかもお前が特別に目をかけただけの人間に、ここまでお前を崩せる力なんてあるわけないじゃん。
お前がお前を苦しめているだけなんだ。同じ次元にわざわざ降りてやってんの。律儀だねぇ馬鹿だねぇ。

また会えたら仲良くしてやるといい。お前にはそれができる。
普通の人間にはできない。だからあいつにもできない。
お前にできることはたくさんある。これだって、20年の重みを受け止めて乗り越えられるなら、探している存在だって見つかるよ。
なにより周りに頼れる人間がたくさん居る。そいつらを見つけられたのがお前の力だし、内省することでお前の知性は深くなる。これもやっぱり誰にでもできることじゃないんだ。
俺らはいっつも見てる。お前が遊ぶのも泣くのも笑うのも先に行くのも真近で見てるよ。
お前だからできることがあるんだ、それを忘れてただ酔った譫を繰り返すのは無しだぜ?

少しずつ傷が癒えて、お前が自分の力に過大でも過小でもない評価ができたら、必ず逢える。
そのための傷と辛さと壁なんだって。ほんとに。
たとえここで逢えなくても再会は近い。
俺はついていくつもりだから、休んで元気になったら皆に恩を返していけな。
ちゃんと伝わるといいけど。伝わらないことはないか。どれだけ辛くても人の話は聞けるもんな。そうだよな?

目覚めなさい 明日を夢見ては


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 久しぶりに、一緒に作った物語を読んだ。
 あの時はすごく悩んだけど、すごく楽しかった。
 誰かと何かをやるのが苦手な僕が、一つのことを成し得たのだと嬉しかった。
 それも相手が相手だったから。
 途中で投げ出しちゃうんじゃないかって、少し心配もしていた。
 同じ熱量だけど、限界の値は違う。じゃあ、どこかで置いていってしまうかもしれないって。
 一緒にその先を見たいと、書きたいと、少し無理をさせたかもしれない。

 そんな懐かしい話を、もう十六年近く前のものを読んだ。
 本当はその後に書いた、当時の自分の最高傑作を読みたくて、その前提を読もうと思っただけなの。
 だけど、とても懐かしかった。僕とあの子が確かに繋がっていたことを、教えてくれる。

 それと同時に、唐突に悟ったわ。
 こんな話を書く子だもの、そりゃああいう行動になる。ああいうことを言える。
 何で何で何でってずっと悲しかったし、悔しかったし、辛かったけど、ここにずっと答えがあったの。
 夢の持ち主は残酷なまでに、自分の為にしか動かない。僕もそう。
 僕と君の間にあったことは全て無かったことになるわけじゃないけど、たったそれだけのものとして捨てられても可笑しくないの。
 だって、京介は南絵の手を取らなかったから。

 そんな人間が、あんな話を書ける人間が、僕の辛苦に気付くものか。
 気付いたところで、謝るものか。辛くなるものか。立ち止まるものか。
 自分の為に、ただ自分の為に、一緒に行こうと言う者を捨てられる、変えられる。
 そして、それはあの子の中では罪ではない。ただ受け入れているだけなの。
 人間の本質は変わらない。奇跡なんて起きない。絶望も希望も等しく訪れて、去っていく。

 全ての答えが既にここにあったなら、僕はずっと遠回りをしていたことになる。
 同じく僕も盲いていたの。何も見えていなかったの。見ているつもりだったのに。
 大事にされていたと思う。たくさん支えてもらったと思う。
 戻りたいとは思わない、もう思わない、その先が見たいから。
 今度は僕が支えるよって、この十年で何回約束しようとしたことか。
 それすらも、君にとっては価値が無く、ただ受け入れて流すだけのものなんだね。

 誰もが知っていたこと。僕だけが見えていなかったもの。
 だから周りの子が言うんだ、「あんな人間が本当にお前に必要なのか?」と。
 大切にしてくれるだけの人間なら、もっと他に居るということかと思っていた。
 そうじゃなくて、虚無なんだ。真っ黒なだけ。底が無いだけ。浅く、狭く、色が無い。
 それがあの正体で、僕が愛したものの正体で、僕が生きるために必要な要素なんだ。
 僕だって自分の為だよ、また会いたいとか話したいとか、君の役に立つわけないもんね。
 それでもいい筈だ。僕とあの子がそうやって関わってきたことを、もう知っている。

 いろんなことを知る度に辛くなる、苦しくなる、逃げ場が無くなる。
 改めて突きつけられる現実に、僕がどれだけ苦しめられようとも、その手が触れてくれることもなく。
 言葉を用いてどれだけのものを交わそうとも、人間である以上、しがらみに囚われている以上、それ以上でも以下でもなく。
 小さくて、弱くて、月並みで、大したことないんだな。
 そんなでも僕は愛したし、欲したんじゃないか。そこまでは否定しない。
 救われたんだ、確かに。だから君は僕を承認欲求と自己同一性の為に生かしてくれたんだ。

 そんな関わり方でも、あの時はいいと思ったの。
 本当は良くなかった。今になって傷が膿んで、まだ苦しんでいる。血の流れない傷がたくさんある。
 あの子はどうだろう。何を得て、何を失って、何に気付いて、何を諦めたんだろう。
 それを知ることができないのは悲しいな。僕はまだ諦めきれないのか。

 人を信じる理由なんかない。
 幸せを幸せだと認識して感じられる時間も、もう無くなった。
 これからゆっくり朽ちて、錆びて、膿んで、忘れていくだけ。
 そんな人生が嫌だから、僕は抗う。持ち得る力の全てで抗うと決めている。
 その過程で、また会いたいだけ。会えなくてもいい。会いたいだけ。
 せっかくこのしょうもない人生で出会えたものだ、失いたくなかったものだ、機会が欲しい。
 執着じゃなければ、依存じゃなければ、もっと傍に居られた?
 馬鹿を言うな。

 それでも、納得がある。あの物語は標だ。
 だから、君はそうなんだ。僕に対しても、誰に対しても。
 その虚無が、僕と居ることで少しは埋まれば良かったのに。
 そしたらもっと大事にしてもらえたかな。

 今の僕なら大事にできる。理解できる。もっと何かを言える。
 傷付けても、慰めても、近付けないかもしれないけど。
 ただ、夢の獄に居る。現の牢に居る。同じように居るんじゃないかと思っている。
 だって、どうせ君にとっては何も価値が無いんだろう。自分さえも。
 僕だけが知っていればいいんだ、そんなこと。

 また一つ歩けただろうか。ただ辛いだけの日々に光明はあるか。
 大事なものを大事にしたい。幸せな時は幸せなことだけ感じていたい。
 それが上手くできなくて落ち込むし、悲しくなるこの苦痛は、お前には解るまい。
 でもいいよ、許すよ。僕の為に。

 気でも狂えばよかったんだ。もっと早くに死んでいればよかったんだ。
 そんな世迷言を吐いても、僕は明日も書き続ける。証明だよ、証明。
 君にはできっこない。ずっとそう。

 僕だけの唯一無二に早く逢いたい。満たされたい。受け止めてほしい。
 ゆめひとやは大事なものなんだ。あの子にもいつか、その意味が訪れるといい。
 分かたれたくない。


 またともだちになりたいだけだったの。
 誰にも咎められず、阻まれず、自分達でそういう存在を何とかできると思っていた。
 できなくても、いずれはできるようになるだろう。
 一緒に成長したいだけだった。
 彼女達以外で、初めてちゃんと信じようと思った人間だから。
 母親の代わりにして甘えてしまったことは、申し訳なく思う。
 今の僕なら解る。
 ちょうど十年前、僕は近付き方を間違えた。或いは、機を見ることができなかった。
 それも間違いではなく、過程の一つにできるよう、一緒に成長していけると思っていた。
 だからこんなに拘ってしまった。すまなかった。
 忘れないでほしい。二十年も付き合ってきた、やべー奴のことを。
 また会いましょう。


 解放される。自由になる。
 これで君は自由なんだ、と彼女が言った。
 そうか、なら自由なんだろう。彼女が言ったんだ、間違いない。

 ずっと苦しかった、辛かった、惨めだった、悲しかった。
 いつかこのすべてが報われることを願って、呪ったり、立ち止まったり、歩いたりしてきた。
 最後は許すつもりで目を閉じた。閉ざしたと言ってもいい。開くことなんて無いと思った。

 何かが起きると思ったし、誰かに会えると思った。
 今のところ、そんな予兆は無くてがっかりだ。
 これだけ辛い目に遭ったのに、何も起きないなんて。
 占いも、予言も、予知も、何も意味が無い。
 刻一刻と変わっていく世界の中では、すぐに切り替わる僕の運命には、何も手出しできない。
 それが退屈だった。嘘吐きでしかなかった。
 お前達の力の及ばない場所に僕は存在していて、人間でもなくなって、そのまま消えるんだ。

 だけど、解放の兆しだけは受け取った。僕にはもう必要無いんだと思うことができた。
 だからこそ再会も、離縁も、どちらにも転ぶのだと解った。
 ウィルドはそういう意味だったのかもしれない。ペイオースも、たぶん。

 ルーンの結果ですら揺らぐから、何一つ信じるべきではなかった。
 占術の結果なんて一定の可能性を保障するものではない、解っていたのに期待してしまった。
 時間はまだ掛かる。それだけの価値あるものを用意できるか、疑わしい。
 その間に僕はまた真理に辿り着いたぞ。ポポルと会話することで見えたものがあったんだ。

 解放してほしい。もう苦しいのも辛いのも悲しいのも嫌だ。
 相手がどうとかより、自分に降りかかる厄災全てを跳ね除けたかった。
 だが、今はどうだ。僕は明らかに相手よりも上の次元に足を踏み入れたのだと解る。
 それが幻だなどと、誰が断じることができようか。僕にだって、きっとできない。

 もう終わりでいい。僕があの子のために苦しむのは終わりだ。
 あの子がどう幸せであろうと、不幸せであろうと、僕にはもう関係無い。
 関係があるとすれば、また縁が繋がった時だけだ。
 「そんな人間がお前には必要なのか?」と皆が異口同音に尋ねてくる。
 僕にとっては大事な子なんだ。どれだけ呪い、憎もうとも。

 この心に敵うものなんて、幾何も無い。
 僕に必要なものは僕が決める。過去に引き摺られて、もう役目の終わったものに拘ることは無い。
 この先で出逢うことを期待したいのなら、愚かだった過去こそを断罪すべきだ。

 なんて、偉そうに思うけど、本当はどこかでまだ泣いている。
 そりゃそうだ。ずっと一緒に居たかったのだから。僕だけが。
 相手も望んでくれたかもしれないけど、僕ほどの次元じゃない。
 あの子はいつも僕を見下ろしていただろうけど、本当は見上げる側だったんだよ。
 こういう話の時は、特に。だって君にはこんな思考も覚悟もできないだろうからね、と。

 だから、だから、この次元に君が来てくれれば、生きながら辿り着いてくれれば、また会える。
 やっぱり好きだし、一緒に居るのが楽しいから。前みたいにできなくても、楽しいことを見つけられる。
 現世でなくてもいいけどさ。それもやっぱり、魂の弱い人には解らないんだ。

 僕が特別なんじゃない、向こうが特別なんだ。僕につられて、特別だと思い込んだ?
 不思議な縁だ。関わり方だ。大事にしたい。大事にされたい。それは可笑しいことじゃないと、やはり皆が言う。

 それら全てが絡みついていた。足元から少しずつ引いていく。僕を解放してくれる。
 愚劣極まりない現状をして、僕はまた進める。また置いていく。
 解放されたかった。悲しみも辛さも苦しみも、どこかに置いていきたかった。
 自らの罪を悔いるなら話ができるだろうけど、話せないなら、つまりそういうことだ。
 この次元には辿り着けない弱さも、気付かないまま。そういうふうに思っていいのだろうか。

 いいのだ、と皆が言う。僕を持ち上げて、てきとーに言って、生かしたいだけなのでは?
 どうせこんなこと言っていたって、どこかでまた落ち込む。連れていかれる。
 でも、それが少しずつ治まるのなら、僕が自分の強さを認めることにも意味が出てくる。

 解放してほしい。僕はここに居る。明日死ぬとしても、最後まで目を逸らさない。
 罪深き者にいずれ罰が下るなら。
 報われるのはあともう少し掛かる。会えるのも、まだ掛かる。
 今まであんなに辛かったのに、まだ辛くならないといけないなんて。
 それもどこかで唐突に終わる。死ぬかもしれないし、違う何かが起きるかもしれない。

 死んでもいい、生きていてもいい。解放されても歓びを知ることはない。
 これが心壊れた者の現実と、とある人間の犯した罪の証。僕が生きている限り、その罪は消えないし、無かったことにもならない。
 でも、君はきっと殺しには来られないだろう。責任を放り出して、見たくないものから目を逸らすのは、人間として当たり前だから。
 それすらも間違っているのなら、天意が僕を滅ぼす筈だ。

 解放してほしい。解放して。
 もうたくさんだ。縁を結び、呪いを紡ぎ、生まれ変わっても、まだ足りないのか。
 満たされろ。報われろ。それができないなら、お前が殺しに来い。

 今日はどうにも駄目だった。朝からずっと落ち込んでいた。
 何かが起きる気がした。でも、どうせ何も当たらずに終わることも解っていた。
 そんな中で突然に起きた解放の予兆だった。僕はもう苦しまなくていいと、自覚した。

 自覚したところで、いきなり全てが晴れるわけではない。少しずつってところが、もどかしい。
 一瞬で晴れるような何かが起きることを期待している。自分から動くのはもう飽きた。
 今まで僕はずっと自分から動かしてきたんだ。行動してきたんだ。そろそろ誰かに動いてほしい。そんな価値も僕には無いのか?
 見つけてほしい。僕を見つけてほしい。いつかの姉さんと同じことを言っているな。

 離れた縁が再び繋がる日は訪れる。それは僕から、或いは相手から。
 そうなってほしいところだよ。でないと、これだけの葛藤を繰り返したのが無駄になっちゃう。
 でも、今の僕と話すのは怖いだろうね。

 終わりになればいいだけ。終わりにしてくれ。
 早く会いたい。僕を見つけ出してほしい。解放されたんだろう?
 今なら見える筈だ。ここに居るよ。


 十三年ぶりに友人と会った。懐かしい場所へ行った。
 当時のいろんなことを思い出して、また懐かしい気持ちになったけど、寂しくはなかった。
 またこの面子で集まる機会を作れるだろうなって、そんな予感があった。

 ここ数日の記憶といえば、寂しいとか苦しいってそんなことばかりだ。
 思い返せば苦しくなり、未来を見れば辛くなり、寂しさの中で以前と変わらず誰かを欲していて、進歩が無いなと自分で呆れていたところでもある。
 そんな中での、とても久しぶりの再会。当時を思い出しても嫌な感じなど全く無く、寧ろこんなところまでやってきたのだって感慨深くなる。

 再会といえば、去年もそうだった。ちょうどこの時期に六年か七年ぶりに、小学校以来の友人に連絡を取り、会ったのだった。
 向こうは「君との友情はてっきり終わってしまったものだと思っていた」と言っていたけど、こうやってまた会うことができたのだから、完全に終わっていたわけじゃないと思う。
 その子に対して、当時の僕はわりと怒っていたのだけど、時間が経った今は「もっと寛大に話し合えれば良かったな」と反省して、また友達としてやっていきたくて連絡したのだった。

 そしてもう一人、三年か四年ばかり連絡を断っていた子にも連絡を入れて、オンライン上で繋がるようになった。
 相手はたぶん僕が連絡しなくなったことに気付いてすらいなかったと思うけど、以前と同じ態度で、なんなら僕が怒った当時よりも余裕のありそうな態度で接してくれている。
 当時の話を聞いて、僕が独善的だったことも解った。まぁ、話している最中に言ってくれればよかったのに、とも思ったが。
 今はちゃんと御礼も言い合える仲。彼女とと面と向かって話せるようになった時、僕が彼女について怒って愚痴り回っていたことを謝ろうと思った。

 こんな感じで、一度繋がった縁をなかなか手放せない。今また繋がってもいいと思ったものを、自分で繋ぎに行く。
 新しい縁も大事だけど、古くから存在するものだって大事にしたいのが自分なのだから、これでいいのだと思う。

 勿論、誰とでも繋がれるわけじゃない。
 恐らくもう話もしてくれないだろうなって人も居て、人伝に聞くに留まっている。たぶん、その人の人生にもう僕は関われない。
 自分から関わりに行けば違う関係を持てるかもしれないけど、相手が僕を怖がっていると思う。だから近付かない。

 それも踏まえて、まだあの子に拘っている自分を客観視してみるけど、再会を願っても、或いは諦めても、どっちでもいいんじゃないか。
 許せた時点で何かが変わり始め、昔を懐かしんで前向きなままだったことで何かが転がり始めた。
 でも、新しい絆はまだ持てそうにない。そういう予感だけは当たるのが悔しい。
 再会を願うのは未練か挑戦か。後者の気持ちが強くなった時、僕の願いはもう一度、姿を変えるのだと確信を持ちたい。

 自分に期待できないし、他人にも期待できない心境から、どうやって動こうか。
 否、もう動き始めているような気がする。毎日の生活は特に激変していないが、その心理だけはめまぐるしい変化を伴う。
 何年も何年も同じことを考えているけど、それが少しずつ変化しているのは解っている。唐突な、大きな変化を望むから、じりじり変わるのが嫌なのだろう。

 変わりたい。まだ手に入れたい。逢いたいんだけど、まだその片鱗も見えない。
 もうすぐだ、もうすぐだって予感はあるのに、時間が掛かる。セレナ達の感覚に近いから、人間の時間の流れについていけてないだけかな。
 願うだけでは手に入らないからと動くけど、動かずにじっと待てといつも注意されるので、今回は自分からは動かない。それが怖いこともある。何か見逃していそうで、いいのかなって。

 懐かしい気持ちは大事なものだ。当時と今と浮彫になって、あぁ楽しかったな、こうだったな、また楽しくなるために頑張ろうって思えた。
 僕にもまだそういう感覚ってあったんだ。頑張りたいとか、楽しみたいとか。
 こうやって楽しみを享受すると、その倍は嫌なことが起こるから、それなら楽しくなくてもいいよって思うくらいだったのに。
 好転しだしたと油断していいのか? まだ慎重であるべきか? 解らない。

 再会を望む人に絶対に会えるわけじゃない。でも、僕はまだ望む。
 こんな程度で終わるような関係じゃないって思えるから、新しいものを作れるってそれだけは確信があるから、願ってしまう。
 それも依存と執着だよねって言われればそうだけど、そこから守れるものを作ることはできるって、この半年で教わったから。まぁそれには当事者二人の協力が必要不可欠だけど。

 死にたい気持ちの先に、楽しみを素直に受け取るものがあって、また進めばきっと絶望するんだろうけど、最後にもう手放したくなった時に、何かが手に入れられる。
 いつも死の間際じゃないと、大事なものが手に入らない。それだけ真剣になっても、いつかは失ってしまう、奪われてしまう。
 同居している希望と絶望で心はかなり疲弊しているが、その繰り返しで魂だって摩耗しているが、願ってもいいだろうか。踏み出すべきだろうか。

 でも、今は懐かしいなぁという気持ちで満たされる。楽しかったことを思い出す。いや、楽しいことばかりじゃなかったな。だけど、楽しかったんだ。
 今だって楽しいよ。好きなことやりながら、制約を受けずに日々をこなしている。それが誰のお蔭か解っているから、無性に苦しくなることがある。一人で生きていけないくせになって。
 来世ではポポルのように生きるだろうから、それまでにたくさん修行しておかなきゃならない。そう信じるのみ。いつも試練に挑まなければ、成長できない。

 許してほしい。
 僕は許す。あの子も、分不相応なことを願う自分も。
 救いを求めれば叩き落されるが世の常だが、経験上、苦しい時にいつも誰かが助けてくれていたのだと思い出した。
 繋がっていると信じる。また会えると信じる。今の自分にならできると信じる。希望を持てばまた失うのだが、それだけではないと信じる。
 途方もない愚か者かもしれない。それも解っていたことだ。

 夕暮れに懐かしい景色を見て、いろんなことを思い出して、それが案外、心地よかった。
 またここに来よう、次はいつ来るのかなって、眩しい気持ちが新鮮だった。
 忘れていたことも思い出して、久しぶりにたくさん笑った。
 「変わってないな」て言われて、内面ぐちゃぐちゃでも根元はそのままなんだと解って嬉しくなった。

 楽しかった、満足だって思いを持って、次の楽しいところへ行く。
 その狭間に不幸や絶望があって、いちいち足を取られるだろうけど、また会いたい。
 死ぬ前にもう一度見られた景色で、僕の中の何かが動いていく。

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