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ふらみいの、とうかの、言葉吐しと成長録

 久しぶりに、一緒に作った物語を読んだ。
 あの時はすごく悩んだけど、すごく楽しかった。
 誰かと何かをやるのが苦手な僕が、一つのことを成し得たのだと嬉しかった。
 それも相手が相手だったから。
 途中で投げ出しちゃうんじゃないかって、少し心配もしていた。
 同じ熱量だけど、限界の値は違う。じゃあ、どこかで置いていってしまうかもしれないって。
 一緒にその先を見たいと、書きたいと、少し無理をさせたかもしれない。

 そんな懐かしい話を、もう十六年近く前のものを読んだ。
 本当はその後に書いた、当時の自分の最高傑作を読みたくて、その前提を読もうと思っただけなの。
 だけど、とても懐かしかった。僕とあの子が確かに繋がっていたことを、教えてくれる。

 それと同時に、唐突に悟ったわ。
 こんな話を書く子だもの、そりゃああいう行動になる。ああいうことを言える。
 何で何で何でってずっと悲しかったし、悔しかったし、辛かったけど、ここにずっと答えがあったの。
 夢の持ち主は残酷なまでに、自分の為にしか動かない。僕もそう。
 僕と君の間にあったことは全て無かったことになるわけじゃないけど、たったそれだけのものとして捨てられても可笑しくないの。
 だって、京介は南絵の手を取らなかったから。

 そんな人間が、あんな話を書ける人間が、僕の辛苦に気付くものか。
 気付いたところで、謝るものか。辛くなるものか。立ち止まるものか。
 自分の為に、ただ自分の為に、一緒に行こうと言う者を捨てられる、変えられる。
 そして、それはあの子の中では罪ではない。ただ受け入れているだけなの。
 人間の本質は変わらない。奇跡なんて起きない。絶望も希望も等しく訪れて、去っていく。

 全ての答えが既にここにあったなら、僕はずっと遠回りをしていたことになる。
 同じく僕も盲いていたの。何も見えていなかったの。見ているつもりだったのに。
 大事にされていたと思う。たくさん支えてもらったと思う。
 戻りたいとは思わない、もう思わない、その先が見たいから。
 今度は僕が支えるよって、この十年で何回約束しようとしたことか。
 それすらも、君にとっては価値が無く、ただ受け入れて流すだけのものなんだね。

 誰もが知っていたこと。僕だけが見えていなかったもの。
 だから周りの子が言うんだ、「あんな人間が本当にお前に必要なのか?」と。
 大切にしてくれるだけの人間なら、もっと他に居るということかと思っていた。
 そうじゃなくて、虚無なんだ。真っ黒なだけ。底が無いだけ。浅く、狭く、色が無い。
 それがあの正体で、僕が愛したものの正体で、僕が生きるために必要な要素なんだ。
 僕だって自分の為だよ、また会いたいとか話したいとか、君の役に立つわけないもんね。
 それでもいい筈だ。僕とあの子がそうやって関わってきたことを、もう知っている。

 いろんなことを知る度に辛くなる、苦しくなる、逃げ場が無くなる。
 改めて突きつけられる現実に、僕がどれだけ苦しめられようとも、その手が触れてくれることもなく。
 言葉を用いてどれだけのものを交わそうとも、人間である以上、しがらみに囚われている以上、それ以上でも以下でもなく。
 小さくて、弱くて、月並みで、大したことないんだな。
 そんなでも僕は愛したし、欲したんじゃないか。そこまでは否定しない。
 救われたんだ、確かに。だから君は僕を承認欲求と自己同一性の為に生かしてくれたんだ。

 そんな関わり方でも、あの時はいいと思ったの。
 本当は良くなかった。今になって傷が膿んで、まだ苦しんでいる。血の流れない傷がたくさんある。
 あの子はどうだろう。何を得て、何を失って、何に気付いて、何を諦めたんだろう。
 それを知ることができないのは悲しいな。僕はまだ諦めきれないのか。

 人を信じる理由なんかない。
 幸せを幸せだと認識して感じられる時間も、もう無くなった。
 これからゆっくり朽ちて、錆びて、膿んで、忘れていくだけ。
 そんな人生が嫌だから、僕は抗う。持ち得る力の全てで抗うと決めている。
 その過程で、また会いたいだけ。会えなくてもいい。会いたいだけ。
 せっかくこのしょうもない人生で出会えたものだ、失いたくなかったものだ、機会が欲しい。
 執着じゃなければ、依存じゃなければ、もっと傍に居られた?
 馬鹿を言うな。

 それでも、納得がある。あの物語は標だ。
 だから、君はそうなんだ。僕に対しても、誰に対しても。
 その虚無が、僕と居ることで少しは埋まれば良かったのに。
 そしたらもっと大事にしてもらえたかな。

 今の僕なら大事にできる。理解できる。もっと何かを言える。
 傷付けても、慰めても、近付けないかもしれないけど。
 ただ、夢の獄に居る。現の牢に居る。同じように居るんじゃないかと思っている。
 だって、どうせ君にとっては何も価値が無いんだろう。自分さえも。
 僕だけが知っていればいいんだ、そんなこと。

 また一つ歩けただろうか。ただ辛いだけの日々に光明はあるか。
 大事なものを大事にしたい。幸せな時は幸せなことだけ感じていたい。
 それが上手くできなくて落ち込むし、悲しくなるこの苦痛は、お前には解るまい。
 でもいいよ、許すよ。僕の為に。

 気でも狂えばよかったんだ。もっと早くに死んでいればよかったんだ。
 そんな世迷言を吐いても、僕は明日も書き続ける。証明だよ、証明。
 君にはできっこない。ずっとそう。

 僕だけの唯一無二に早く逢いたい。満たされたい。受け止めてほしい。
 ゆめひとやは大事なものなんだ。あの子にもいつか、その意味が訪れるといい。
 分かたれたくない。

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