ふらみいの、とうかの、言葉吐しと成長録
何故、こんな気持ちになったのかが解った。
同じことを繰り返そうとしているからだ。
誰かを信頼し、依存し、甘え、その期待を自ら膨らませて、相手の挙動で傷付くという一連の流れ。
それらをまた繰り返そうとしているから、自分に呆れている。相手には申し訳なく思う。
あれだけ痛い目に遭ったのに、何でなんだ?
ネトゲで知り合ったと思えないほど、趣味も好みも合う相手だった。
感性や物事への価値観が似ていたと思う。
相手もそうであれば嬉しいけど、まぁそうじゃなくても仲良くできていることが素晴らしいよな〜と気楽に構えていた。前回の訣別のことがあったから。
だけど、ここ2ヶ月くらいは深度のある話をできることが多くて、それが個人的には嬉しかった。
相手はそういう話をすること自体、嫌なんじゃないかと思っていたから、少しは距離が詰められたかな? と思った。
勿論、ここで詰めすぎてはいけない。
自分の感情の変遷は程々にして、相手と良い関係を保っていきたかった。
だけど、自分の精神はすぐに二律背反を呈し、相手と自分の特別な間柄を重視するようになる。
そのお蔭で心が壊れるほど悲しい目に遭ったというのに、何で懲りてないんだ?
二律背反を感じ取った時点で、自分に愕然とした。
勘違いしない、期待し過ぎない、依存しない、程よい距離感で長い付き合いを…と重んじていこうとしていた筈が、いとも簡単に相手との距離を見失った。
僕だけが特別視しているのか?
相手はどう思っているのか?
相手の環境が変われば、また去ってしまうのか?
そんな恐怖や諦観が忍び寄って、常に心を重くさせた。
自分の情けなさと弱さに苛立ちが隠せなくなった。
その矢先、家族と衝突し、心に打撃の痕だけが残る。
仕事先でも嫌なことが起こり、その合間に件の心を壊す原因となったあの子が夢に出てきた。
それだけ僕はあの子と話したいのだと思うが、日常からせっかく面影を追い出しても、夢の中に出てこられてはその努力など簡単に水泡に帰す。
あらゆる点が結びついて、身体に支障が出るようになってきた。
ひとつ、これは減薬したことの影響かとも考えた。
薬を服用しない方が、不可視の存在を感知できる。話せる。
だけど、薬で安定していた精神は徐々に均衡を崩し、人間との関係に軋轢を生みかねない。
かつて、不可視の存在の一人が「人間との仲が悪くなるくらいなら、私達とは話せなくていい」と気遣ってくれたことがあった。
僕は強欲で貪欲だ。そんなの嫌だとすぐに跳ね除けた。
人間だろうが不可視の存在だろうが、仲良くできるものはしたい。僕のことを知って尚、一緒に遊んでいてほしい。
死がもっと身近になりつつある今、もう何も失いたくなかった。全て手元に残しておきたかった。
だから、今回の相手にもあまり重くなりすぎず、かといって軽んじることなく、関係を維持したかった。
僕なりに大事にするとしたら、相手の心情を察して、嫌がることはしないのがいい、と。
しかし、失敗した。自分の不安に負けて、荷物を預けようとした。
相手は受けようとしてくれたと思うが、結局、他の人も交えて遊ぶことになって、有耶無耶になった。
それで良かったと思いつつ、何となく相手が親密になる関係を避けたようにも感じ、その傷付き具合に閉口した。
不可視の存在の一人は笑いながら言った。
「お前の精神の支柱になるのは大変なんだよ」
同じようなことを大学時代、友人にも言われたことがある。
支柱にならずとも、聞いてくれるだけで良かった。
それがそもそも重たくて、粘ついた依存なのかもしれない。
僕は間違えたくなかった。相手を巻き込みたくなかった。
それが自分なりの親愛だと思っていたのに、こんな容易く間違えるとは。失望だ。自分に失望した。
なにより、自分だけがまた期待している、心を寄せていると自覚するのが怖かった。
相手にとって、僕は大した存在じゃないと知ってしまうのが怖かった。
そうなる引鉄を自分で引いたというのに。
これではあの子の二の舞になる。もうそんな目に遭いたくないのに。
考え過ぎなのかもしれない。
疲れているのかもしれない。
休憩させてくれーと言いかけると、母親役を休憩とかあんの? と誰かの皮を被った何者かの声が責めてくる。
他人と比べても仕方ないのに、まだ比べている。
僕はもう期待したくない。嫌われたくない。
失うのは嫌なんだってば。
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