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ふらみいの、とうかの、言葉吐しと成長録

こんにちは、ふらみいです。

せっかくの休日も、雨が降っていたらどこに行くのも億劫ですね。
ということで、家でのんびりしていました。


そうそう、それで地上波でやっと放送された"ブラック・スワン"を観たのです。
以前、どこかで広告を見かけた時に「あ、面白そうだな」とは思っていた。気になってはいた。

バレエは見にいったことはないけど、嫌いではないんです。機会が無いだけ。
身体を使って何かを表現するということ自体は好き。人の可能性がそこにもあるから。
だから、ダンスシーンとかどんなものでも好きですよ。何をどのように表現しようとしたのだろうってことを考えると、すごく楽しいからね。

で、この"ブラック・スワン"という映画は、どうやらバレエで踊る彼の有名な「白鳥の湖」の主役を巡るお話であるようで。
概要とかまったく知らずに、ただナタリー・ポートマンの表情に魅了されていたのよね。あの広告のお顔。綺麗なのに毒々しくて素敵。


あらすじは、

とあるバレエ団に所属する主人公・二ナは、完璧なバレエダンサーになる為に稽古を積む毎日。
「白鳥の湖」の女王役に何としてもなりたくて、講師の前でも立派に踊ってみせようとします。
甲斐あって主役に大抜擢されるも、その重圧がだんだんと彼女を苦しめていき・・・・・・

こんな感じでしょうかね。
話通してひとつのバレエの舞台のように見えますので、あんまりあらすじを話すことが無いというか(何)
ネタバレになってしまうので、あんまり細かいことは言えないのでございます。


ネタバレせずに言うなら、美しい。そして、怖いなぁ、と。

幾つかの感想も読ませていただきましたが、感じた部分が同じである人は同じ、違う人はまったく違うので、この映画を楽しめる人ってのは、そもそも人の心模様を知りたい人ぐらいなんじゃないかなぁと思いました。
人の心理の移り変わりを、理屈ではなく感情で知ることができる人には、面白いもんになるのかな、と。
感受性が強くなければ映画を観られないということではないのですが。楽しみ方は人それぞれですが。

"ダンサー・イン・ザ・ダーク"に通じる雰囲気と、"パーフェクト・ブルー"に通じる心理の表現があって、自分もそう感じていたけど、やっぱり同じように感じている人も居たんだな。
特に主人公が自分で知らずのうちに自分を追いつめていく場面とか、"パーフェクト・ブルー"を思い出した。
何かにとり憑かれたように踊り踊る姿は、歌い続ける"ダンサー・イン・ザ・ダーク"を思い出した。
映画が似てしまったというか、表そうとしたものが似ていたから思い出したんだろうなーと。

それから、どなたも絶賛していますが、ナタリー・ポートマンの演技がすごく良いです。情感びんびん伝わってきます。
ナタリーはこの映画の為に減量して、1年ほどバレエの特訓を受けていたとのことです。幼少の頃にはバレエを習っていたらしいし。
その努力もあって、臨場感溢れる演技ができたのではないでしょうか。この役を演じていた時のナタリーはどんな気持ちだったのでしょうね。

ちなみに、ふらみいは主人公・二ナの友人(?)であるリリーが好きです。悪気の無い、あの奔放さがすっごい好きである。


バレエで培われた肉体というものは、無駄がなくて本当に綺麗ですね。
男女関係なく、そのしなやかな筋肉は踊る為だけに使われて、非常に見ていて気持ちがいい。
人体の不思議だな。先ず、あの爪先立ちだけで「すげぇぇぇ」て思うもん。どうやってんだろ。

以下、好きなように感想を書きます。ネタバレあるので、伏せていきましょー。



作業用BGM
 白鳥の湖 / チャイコフスキー







いやーもう見応えのある映画だったなー。これに尽きる。
主人公の精神の変化、染み出してくる不安と焦りと妄想の具現化が、また拍車をかけてくるんですよ。

自分が大きな舞台に立つ時の緊張って、本当に吐きそうになるし、逃げたくなる。
ふらみいも覚えありますよ。と言っても、ピアノの発表会とかだけど。それでも、普段そんなに人前に立つことなんて無いから、練習の成果を見せる時ってなると、ものすごく緊張するんですよね。
お腹にきたり、冷や汗かいたり。逃げたくなるし、爪先から冷たくなって感覚が無くなってしまう。
終わってしまえばどうということはないけど、それまでが。始まる直前までが、ね!!

主人公・二ナはバレエづけの毎日で、主役の座を勝ち取る為に今まで全てをバレエに捧げてきたのだから、その緊張感を想像するだけで、こっちが逃げたくなるわ。
欲しかった大役、取れた喜び。しかし、その後の稽古で「きつくって」と言って泣いている辺り、稽古がどうというより、できない自分に対しても悔しいのでしょうか。ね。

母親に求められる「完璧」が二ナの求める「完璧」に合致し始めていたのは、いつからだったのだろう。
それって自戒の念として強いものだけど、完璧になれなかった自分を許すことができないから、すごく苦しいのです。
母親も娘に対して甘いように見えるけど、実際にはその過度な愛と期待で娘を潰しているって思ったりはしてないのだろうな。

そう、この娘の母親がねー・・・・・・、厳しいんだよね。自分もバレエダンサーやっていたからって、その夢を娘に託して、過剰な愛を注いでいる。
母親の愛に応える為にも頑張っている娘とか、最初は微笑ましくても後から見ているのが辛くなってくるな。年齢を重ねれば重ねるほど、辛くなる。

個人的に、「私はこうだったから貴女はこうして頑張って」という期待のしかたも、されかたも嫌いなので、見ていて辛かったのはここだな。
だって、「私」と「貴女」は違うもの。同じ境遇に立ったからといって同じ考え方をするわけじゃないし、まして何で「私」の分を取り戻す為に頑張らなくてはいけないの。違う人間なのなら、違う選択肢がある筈よ。
「私も頑張っていたんだから、貴女も頑張って上を目指して」なんて、言われる筋合いはない。

母親はそういう言い方をしていないけど、娘に求めるものがそれに近い。
これでは娘も雁字搦めになってしまって、いざ壁にぶちあたった時の立ち直り方が解らなくなるだろうな。
そういう時に母親が助けてくれるわけでもなし。自分の壁は自分にしか壊せない。
その乗り越え方を探りたいけど、臆病な二ナ。見る妄想に、どんどん心が崩壊していく。その過程が、見ていて居た堪れない。

二ナは弱い娘なのですよ。憧れている人の物を盗んだり、誰かの所為にしたり、弱い娘なのですよ。
それはずっと母親の庇護の下で育ってきてしまったからよね。選択する自由も知らないまま、バレエにのみ自分を見出してきたんだもんね。
正に籠の中の鳥。
その鳥が、白鳥を演じ、黒鳥を演じる。確かに難しかったと思います。

講師のおっさん、トマだったっけ、あの人が二ナのことを「臆病すぎる。もっと自分を解き放て」と言っていたけど、踊りの中から彼女の心理を見抜いたのなら、やっぱり一流の講師なのでしょうね。
ふらみいは、あの人を試すような見透かすような目が気に食わなかったんですが。あれは上から押さえつけてくる目だなぁと勝手に感じておりました。


感想でちらほら見かけたけど、途中で結構、官能的な場面がありましたね。ちょっとびっくり。
その場面が要るか要らないかということでしたが、ふらみいはあっても良かったんじゃないかなって思いました。

なんか不思議ですが、何かを表現する時に、表現したいものの経験ってしておいた方がいい、のかな?
例えば、音楽で恋愛を表現したいと思ったら、恋愛をしなさい、とか。
恋愛経験のある人と無い人とでは、音色に込める心が違うから、とか。
そういうの、なんか、なんか不思議。経験しなければ解らないってのは当然なのかもしれないけど、不思議なんだよな。

友人が音楽関係に道を進めた時、やはり楽器の講師にそう言われたことがあると聞いて、その時から疑問でした。
でも、歌声や音色だけで「あぁ、この人は音楽が本当に好きなんだ」って解ったりするから、経験している人としていない人じゃ違うのかもしれないなぁ。

で、話を元に戻すと、二ナは講師から「黒鳥は誘惑しなくちゃいけない」云々と言われて、自慰をするように勧められます。
堅物の二ナでは男はなびくことは無く、しかし黒鳥を演じたいのなら官能的な面を解き放てってことだったんですかね。すげー即物的な言い方すると。
真っ白で綺麗なもの、真っ黒で穢いもの、それを内包する存在は正しく人間だと思いますよ。そういう人に他人は惹かれるだろうさ。

二ナは良い子だけど、抑圧的というか禁欲的だった。そこの鍵を外してしまえば、ぬばたまの黒鳥が羽搏くだろうと、講師はふんでいたのかな。
だから自慰ってのは突飛な発想だけど、自分を知るという上ではこのトランス状態は必須だったのかもしれませんね。

やっていることの派手さに負ける中身だけど、自慰や情事ってトランス体験だと思うのです。
そりゃ一番は子孫繁栄の為の本能からくる行為だけど、もっと心理的な意味を見出すのならトランスする為の行為になるんじゃないかと。このへんの考え方は、中学生の時に読んだ田口ランディさんの影響が強いです。
でも、手っ取り早くトランスするなら、堕ちることですよ。そうじゃないかな。トランスとは忘我状態。忘我するのなら、身体も心も繋がった体験でどうぞ。それなら、情事や自慰が早いのでは。

そのトランスをすることによって、二ナも解き放たれたら自信がついて、束縛から逃げられると思ったんだけどなー。実際には責任や重圧で潰れそうになっていて、それどころじゃなかったか。
ここでもし、あの講師と致すようなことがあったり、男に溺れるようなことがあったら、また別の黒鳥が出てきていたのではなかろうか。美しくて妖艶で淫らな黒鳥でしょうが。

その手を引こうとしたのは、リリーでしたね。ふらみいはあの娘が一番好きです。背中の刺青、ちょーセクシー!!!
彼女は純粋に二ナと仲良くなりたかっただけなんじゃないかと思うんだけど、疲れていた二ナに届かなかったのかなぁ。
例の百合場面は「きたきたぁぁ!!!」て滾ったけどね。美人の百合場面とか最高だね。
だけど、夢だったのか。残念。少しでも精神的支柱があれば、二ナも楽になると思ったのになぁ。


最後、舞台での演技はとっても良かったです。最高かどうかは解りません。プロではないのでね。
あのへんは、難しいところはナタリーではなく別の方がやっていたらしいですが、そりゃそうですよね。
1年とちょっとで踊れるようになっただけでもすごいよ。執念だよ。そうなのかな。
黒い羽根を生やして踊る様は圧巻でしたね。そういう効果が本当についていたら、舞台も騒然としていたでしょうが。

主役だけでは成り立たないでしょ、何事も。引き立てる為だけではないのよ、全て。
二ナが母親と喧嘩した時に言った「私は女王、ママはその他大勢でしょ!」がもう言葉の黒鳥。ひぃ。



観終わった後の倦怠感が、ものすごく"パーフェクト・ブルー"のそれと似ています。
あれも観終わった後の疲労感がすごかったんだよな・・・・・・。ふぃーって感じで。
根詰めて観ると落ち込むので、昼間にのんびりと観ることをお勧めします。

クラシックってやっぱり感情表現が豊かだなー。もっといろんなもの聴いておけば良かった。


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