ふらみいの、とうかの、言葉吐しと成長録
そう語れるほどの何かに、いつ出逢っていただろう。
それはきっと、聖剣伝説を知った時から。
フラミーの背中から見た、遠雷轟く夕闇の彼方。
そこに僕の見たい景色が広がっている。そこに僕の生きるべき世界が待っている。
僕は何のために書いている、歌っていると、何度も問いかけた。
答えは出たが、何度もそれを否定して、肯定している。
僕には何も無いのか。否、何でもあるのか。
表すことをやめたら、楽になるのか。否、それは僕であると言えるのだろうか。
僕は望まれない存在であると解っている。
僕に価値が無くても、僕の物語には価値が残る。それは救いだ。
誰かが僕の書いた物語を読んで、何かを受け取る、考える。それは繋がりだ。
僕自身が誰に届かない存在になっていても、僕にはまだ書ける脳がある、歌える声がある。
充分に幸せだったんだ、今まで。
友人に恵まれ、聖剣伝説に出逢い、自分が何者かを知ろうと、ずっと奥深くまで潜る。
辛いこともあった、哀しいこともあった、悔しいこともあった、怖いこともあった。
捨てられた、裏切られた、選ばれなかった、傷付けられた。それと同じくらい、酷いことをしてきたのだ。
だけど、僕はまだ生きている。自分が生きていくことを、自分に赦した。
何故、赦せた? 僕はどうして、僕を赦せるようになった?
もう繋がりを失ってしまった人に言われたことが引っ掛かる。
「聖剣伝説は君にとって永遠だったのか」と、そんなことを言われた。
永遠、そうだろうか。僕はあの世界こそが僕の帰るべき場所だと、思い出しただけだ。
それは永遠と換言できるようなものだったろうか。彼から見れば、そうだったというだけだろうか。
久しぶりに、繊細な時間を過ごしているのだ。きもちが落ち込んでいるのだろう。
こんな時はどうしていたっけ。あの子と話していたのだっけ。
先日、連れとカラオケに行った時に、好きな歌を好きなだけ歌った。
連れは初めて行った時以来、もう僕のまえでは歌わない。聴き専になってしまって、つまらないだろうと歌を勧めても、元々そんなに歌うのが好きではないという。
それで最後に「ガラスの巨人」を歌ったところ、彼は何故か疲れてしまったようだ。
まぁ、歌詞も歌詞だから、感受性が強い人はしんみりしてしまうかも。
けど、彼の疲れ方はそんなもんじゃないような気がした。
だから、久しぶりに自分から手を離そうとしたのだ、「無理してカラオケに付き合わなくていいよ」と。
本当は褒めてほしいってのもあって、誰かに聴いてもらった方が僕は上手く歌える。
しかし、相手が疲れるのなら無理をさせることはない。僕の物語と同じく、気力を要するのかもしれない。
僕の物語は、読んだ後に疲労感が残るという。歌もそうなら、きっと僕”自体”にそういう力があって、普通の人は疲れてしまうのだろう。
それが解って、何故か僕の方がしんみりしたのだ。
所詮、誰もついてこられないのだな、と、久しぶりに感じていたのだ。
きっとこの人は、僕の物語を読んではくれないだろう。解ってはくれないだろう。
それと恋愛とは別物と解っていても、これでこの人が僕を知る機会はひとつ減ったのだ。
では、僕も同じように相手を知ろうとしていただろうか?
相手の語る言葉以外で、相手を知る術がない。だから、相手の言葉に耳を傾ける。
それでも、そんなふうに疲れられたら、少しだけ悲しくなって、淋しくなって、僕は夜の冷たさを思い出さずにいられない。
それは、死にたくてしょうがなかった時に双子と出歩いて、記憶に残った星空。
それは、ただ夜のなかを歩きたくてあの子を連れ出した、淀川付近の曇天や月蝕。
最後には、安心できるひとの傍で、形を失って眠りに就きたい。
そんな願いを、久しぶりに思い出した。ここ一年近く、抱かなかった心情だ。
まるで真冬の水のように、きりりと冷たくて、たったそれだけのもの。僕の心を流れる純粋無垢な願いだ。
安心できるひとと思って、浮かんだ顔は連れのものではなかった。
確かにこの人を好きではいるが、僕の中に近付いて居座れるような人ではないと解っている。
それでも、僕は選んだ。この人も僕を選んでくれて、大事にしてくれている。
この人と添い遂げたい。人間として生きるのなら、この人の隣がいい。
だけど、人間としてではなく、ただの僕として、名もなき存在に還っていいのなら。
それなら、僕は友人たちに別れを告げ、幼馴染みメンバーに親愛の詩を贈り、あの子と話をしてから、去りたいと思ったのだ。
僕にそれは許されるだろうか。あの子の隣で、あともう一度だけ、存在を解いて、人でない姿に還って、ただの虚無に戻って、子犬のように丸まって、君の隣で旅立ちへと眠りに就きたいと、そんなふうに望むことは許されるだろうか。
許されなかったら、僕はただ旅立つだけだ。そのために生まれ、生きた。
僕には僕しかいない。書いてきたことも、歌ってきたことも、全てが誰の記憶から消えたとしても、僕は確かにここに居たのだと思える。
きっとあの子も、友人も、幼馴染みメンバーも忘れないでいてくれるだろう。それこそが、僕の誇りとなるだろう。
あぁ、それはきっと救いだ。僕は救われていたんだ。
そんな心ひとつで、書き上げたいものがある。君に伝えたいことばがある。
まだ生きているのだろう、それなら、このために生まれてきたのだと解る瞬間まで、目を開けていてほしい。
ぼくはまだ眠らない。
君が眠るまで、眠らない。
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