ふらみいの、とうかの、言葉吐しと成長録
一年が経ってすぐに訪れたクリスマス。
土日に当たったので、今の連れと過ごしてきたクリスマス。
そらーもう型通りさ。
イルミネーション見に行って、一緒に遊んで、ドライブ行って、美味しいごはん食べて、贈り物を交換しあう。
型通りでどこもおかしくないクリスマスだった。
そこに不満は無い。寧ろ感謝しかない。
こんな僕に人並みのイベントを過ごさせてくれて、ありがとう。
何か引っかかるとしたら、それは話した時の何気ない一言ぐらいだ。
何度目かの結婚に向けた話で、お互いの意思はハッキリしているものの、ではすぐに結婚しますとはならないもの。
それは解っているつもりだったが、いつごろにするのか目処は立てておきたいし、場合によっては向こうの転勤も有り得るので、籍を入れるなら早い方がいいのかと考えていた。
いや、焦って結婚するものではないけどさ。そういうもんじゃないんだろうけどさ。
それなら、いつするの。何がキッカケになるの。思いが溢れた時に告げるもん?
僕なら準備して、相手の気持ちがだれないうちに告げたい。
だけど、僕から告げることではないらしい。向こうの出方を待つべきか。
しかし、そこで足を引っ張っているのが他ならない自分なのだと解って、とても落ち込んだ。
なにしろ金が無い。仕事も変えたばかりだ。
そんなすぐに新しいことを始めたら僕が決壊するから、と相手は気を利かしてくれた。
それに結婚して引っ越すには金が掛かるから、それも或る程度貯めておいてもらえればーとのことなのだ。
一緒に貯金しようという話もして、話はどんどん現実になっていく。
だけど、まだ返さなきゃいけない額があり、この前までの国保の返しもあり、そんなに稼ぎも良いわけじゃないから貯金もままならない状態であり……と、僕自身がおよそ結婚に踏み切るには相手に不安しか与えられないので、僕がどんなに相手と一緒になりたくても言い出せないのだ。
というか、これ以上は結婚のことに関して、とやかく言えない。言える立場にない。
貯金も無いし、稼ぎも少ないし、家事もできないし、病んだままだしな、そんな存在と一緒になるなんて、そうとうの覚悟が無いと無理だ。
だから、今の人はすごいと思う。
全てを知っているわけではないが、僕の話とか聞いて悩んで、けど一緒にいる決意をしてくれたのだから。
その為にできることを考えて、掛かる費用も計算して、僕と話してくれたのだから。
金の件で落ち込んだ僕は、相手の誠意に応えるべく努力しようとする。
けれど、話していた中で何気ない一言により、時が微かながら止まった。
母親との確執について、「言ったらいいじゃないか」と言われた。
つまり我慢しないで、自分の言いたいことを言えと。
僕の悩むことはどこかで聞いたことのある話で、みんなが必ず通る道だと思うと。
そう言われて、何かが崩れた気がした。何だろう。それは未だに解らない。
でも、言いたかったら言えばいいなんて、解っている。
誰にでも当てはまることで悩んでいるのだたということも解っている。
解っていることを言われるのは嫌いだ。
一般論しか聞けないのなら、話す必要なんかなかったんだ。
頭の中で渦巻く怒りや悲しみを落ち着ける為に、夜中の2時にひとりでさんぽにまで出た。
大阪でやらかした時も同じように歩いた。人の影がちらほら見えて、ひとりでは淀川にすら行けなかった。
結局、30分ばかしうろついて戻ったが、昨日のさんぽもそんな感じだった。
大体、連れの部屋の周りに何があるのかなんて知らないし、山も川もちょいと遠い。歩いても歩いても車ばかりが通る。
こんな所では、公園で星をぼんやり見ているしかなかった。
不可視の仲間達は皆、心配そうに見ていた。
「お前と話す時はそうじゃないもんな?」と面白そうに言う。
じゃあ誰だったら僕が話せるって? 本音を余すことなく、たとえ喧嘩腰になったとしても聞いてくれる奴がどこに居るって?
……解っているのだ、それが誰なのか。
その名前を呼ぶわけにもいかず、しかし連れに自分のことを話す気にはもうなれず、どうしたらいいか解らなくなった。
言えるものなら言っている。自分のことは自分で言わなきゃ伝わらないんだ。
誰でも感じたり、考えたりするようなことだけど、皆が皆とも同じ感じ方をするわけではないから、僕はここでこんなふうに悩んでいるんだ。
理解してくれとは言わない。だけど、そういうふうにしか言ってくれないのなら、母親同様に黙っていてほしかった。
否、家族にはそんな話をするもんじゃないんだ。あなたがもし僕と家族になってくれるなら、知っておいて欲しいと思っていたんだけど、そんなふうに言われたら話せなくなるんだ。
僕のことなのに、俯瞰している自分が居る。
それではこの器の心は開けないぞ、と他人事のよーに笑っている。
僕はいったい誰なのだろう。
紅弥からは一転して「もう自分を傷付けるのはやめろよ」と言われた。
セレナからは「何がそんなに悲しくなるの?」と訊かれた。
すこし考えてみたら、最近は薬を飲むのをサボっていた。きっと原因はこれだ。
解った途端に悲しくなった。
初めて、今の連れと僕は一緒になっちゃいけないって強く感じた。
僕はどうしようもない屑だ。ゴミだ。
出来損ないの中古瑕物。
何の取り柄もない愚かな人形だ。
だけど書くのが好きだ。歌うのも好きだ。
いつでも自分の世界を広げて思考の羽は休むことを知らない。
僕に価値が無いとしても、僕の書いたものに価値は宿るということを知っている。
誰に選ばれず、誰に愛されずとも、何かを選んで、誰かを愛することはできる。
いつか自分が産まれた世界に帰る日を待ち侘びながら、自分の存在を懸けて挑む場所がある。
その程度の存在だ。
その程度でしかないんだ。
だから、誰かと一緒に居ることなんて当たり前じゃないんだ。
わかっていたのに、高望みしてしまった。
薬を飲まなきゃ普通の思考さえできないんだ。
普通って何だ。きっとこんな状態にならないことだ。
僕が死んだら、やっと君たちは笑顔を見せてくれるだろう。
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