ふらみいの、とうかの、言葉吐しと成長録
ここまで憎しみやら悪意やらに駆られて、身体を壊してでも呪詛を完遂しようとして、心が死にゆくことにも耐えようと試みてきたが、燃えカスだけがここに残っているのだと見えるようになった。
どれだけ感情をこねくり回そうと、どれだけ悪口雑言を叩こうと、全く以て届かない。
そもそも同じ気持ちになんてなったことがない。
僕は相手に僕の唯一無二の相棒になってほしかった。半身とも言える親密な関係になってほしかった。
しかし、それは何度も断られた。断ってきたくせに、相変わらずその人間は傍に居てくれた・・・・・・気がする。
全てが僕の勘違いだったなら。全てが只の無責任な優しさだったのだと諦められたら。
何度も考えたところで、二十年の付き合いは解消されない。それこそ記憶喪失にでもならない限り、忘れ得ることはできないと思う。絶望でしかない。
それが相手の中に少しも残っていないのだと思うと、心はまだ死のうとする。
僕が傷付いたなら、相手にも同じように傷付いてほしいと思うのは、何故だろうか。
そんなことばかり言っているから、隣に居てくれないのだ。選ばれないのだ。
ここで一人何度も傷付こうと、それに気付いてもらえることは未来永劫、訪れない機会なのだ。
そういった絶望や失望や孤独が、何度も僕の心を殺す。また生きようと藻掻く心も、かなり聞き分けのない存在である。
ここまで傷付けてきた代償を払ってほしいと、呪詛を繰り返し唱えた。実行した。
それがどれだけの効果を生んだか解らない。妄想だとしても、結果が欲しい。相手に何かが起きるのか、それとも僕が可笑しくなるのか、結果が欲しい。
それでも毎日が無常に訪れる。何も変わらない日が続く。
身体だけが悪化の兆しを見せる。長く生きてきた罰を受けているのだと、自分を誤魔化すことにも疲れてきた。
こうやって傷付くのが、何故自分だけなのか。
それとも相手も何かのきっかけで傷付いているのだろうか。
少しは僕のことを思い出してくれるだろうか。
忘れたい、やっと離れられたと安堵している頃だろうか。
僕ばかりが考えて、つのらせて、絶望して、日陰に籠る。
人間になれない。大事なものになれない。蔑ろにいつもされていると思いながら、日陰からずっとあの子を見ていた気がする。
僕は知ってほしかった、傷付いたことも、僕がものすごく怒っていることも、同じくらい悲しんでいることも。
君が逆立ちしてもできないだろうことを、僕はこの十年余り続けてきた。君の傍に居たかったから。僕の為だ。
それでも、響かない。僕は選んでもらえない。
もっと優れた人間だったなら、良い外見を貰えていたなら、そしたら少しはその目にも留まっていたのだろうか。
去年からずっとこの問い掛けが続く。もう何百回も何千回も続く拷問のような問い掛けだ。
僕は、僕のことばかりだ。君のことも少しは考えたい。きっと君も辛かった。僕はそれを知っているけど、見たいものだけ見てきた。君が悪者になるように。その上で、僕が悪者となれるように。
これだけ思いを綴っているのを知れば、大多数の人が気味悪がって近付かないだろう。
君もそうだろうか。だから今、こうして関係が途切れつつあるのか。
それが不可抗力だとして、君がその状態を受け入れているのが悲しい。僕との付き合いを断ってまでも、他の人間を優先するのは当たり前か。それでも悲しいものは悲しいのだ。
ただ思うことはたくさんある。その一つ、また仲良くできるだろうか。
もう今世はいい、疲れた。考えるのにも、思うのにも疲れた。精神の異常はすぐ身体に影響を及ぼして、楽しいことをしていても思い出すんだ。何度も繰り返されて、本当に心が休まる時が無いんだ。
君も誰かの為にそんな思いをしているのだろう。辛いだろうし、苦しいだろう。その力になりたいと思う反面、僕の苦痛を少しは知ってほしい。これだけ辛い思いをしながら、僕はその傍に居たかった。
何でだろう。離れたくなかったのだ。大事にしたかったし、ともだちだったから。
人から見れば恋愛でしかないが、僕は君の子孫を残したいと思ったことはない。
僕が人間の姿でなければ、もっと容易く相棒という立場に収まっていられたのかも。
君を守ることができるのが僕だけだったならなぁ。
ファンタジー脳はいつも夢を見ながら、現実を踏みにじる。
たくさん呪って、たくさん言葉を綴って、たくさん夢を見て、もう心身共に限界だ。
本当に休みたい。脳が片時も眠ることなく動いているみたいで、きっかけにより思い出すと全力で稼働するのが癖になっている。非常に疲れる。
冷凍睡眠でもさせてほしい。身体も心も何も考えることなく、気付くことなく、百年くらい眠らせてほしい。
疲れ切った心の影響が身体にずっと出て、最近ではその痛みが治まらなくなってきた。
この器も長年使って劣化してきたから、仕方ないよな。あちこち不調が出て、替え時になっても替える先が無いんだ。
もっと強靭な身体と心があれば、もう少しだけ生きやすかっただろうか。
心身があまりにも痛みに素直なので、これが終わるなら死にたいとも思う。
だが、死ぬ直前になって「やっぱり生きていたかった」と思うのが怖くて、一歩を踏み出せない。
直前の心境なんて、その時になれば解らない。ただでさえ、死にたいと思った瞬間に景色が輝き出すのだから、僕自身は死にたくないのかもしれない。
そこに気付いてしまう瞬間が、何より怖かった。取り返しがつかない。
たった一人と分かたれただけでこれだ。
でも、その一人は誰かを信じてみようと思うきっかけであり、要だったんだ。
この人なら大丈夫だと、信じたかったのだ。信じさせてくれると思った。
そんな重要な位置に勝手に据えられて、相手も迷惑していただろうか。
否、勝手にではない。向こうもそれは知っていた。知っていて、こんなことになった。馬鹿野郎が。
さんざん呪ったし、怒ったし、傷付け返してやりたいところだが、僕は僕の為にも君の力にはなろう。それはそれ、これはこれだ。
だけど、その連絡を取ることはおろか、現状を知る手段も無い。
そうして時間が空いて、きっと向こうはもっと環境を変える。僕のことを忘れていくだろう。
それは僕が良しとできるものではない。相手の都合だから、僕はやっぱり忘れられるだけなんだ。
できるとすれば、死ぬ前に書き上げた物語を送りつけてやろう。それが遺作ということで。
感想ぐらい欲しかったけど、どうせくれないだろう。周囲の人間に配慮して、いつもそういうとこだけ馬鹿正直だ。僕への配慮はどうした。
君より先に死ぬのを目標にしよう。それで少しは後悔してほしい。でも、それもきっとしない。それくらい、僕の存在は君の中で小さく、もう消えていくものなんだ。
それを認められるようになるまで、まだ掛かる。その間、ずっと苦痛が続く。僕の心はもう壊れられそうな部分が無い。
だから、君には憶えておいてほしい。どうせ知らないまま死んでいくだろうが、君は誰かにこんなにも愛されていた。愛は執着そのもので、醜くとも欲しがらずともそこにあった。
君が欲しかった愛は、別の人間にもたらされる優しい微風のようなものだったろう。望んでいない場所から熱烈な感情が飛んできたところで、戸惑うのも無理はない。
僕が欲しかったのは、同じように思ってくれているという実感だった。環境や思考がどんなに変わろうと、大事なものを手放さなかった僕のように、大事なものを守るためにあれこれ思案する君でいてほしかった。
僕から離れゆく方が楽だとは思う。
それでも、そこはもう少し頑張ってほしかったな。同じじゃなくても、少しでもともだちだと思ってくれているなら。
それとも、そういった奇跡や友情とはハナから無縁の人間だったかな。恋愛や家族を大事にし、それ以外を顧みないのが本性だったかな。
だとしたら、それを見抜けなかった僕が悪いのだろう。やっぱり人間なんて、特に異性愛者なんて信用するべきじゃなかった。
思うんだ、きっと僕が外見も内面も優れた人間だったなら、君はここに居てくれただろうと。
そうならなかったから、もうここで話は終わりなんだけど。
理解できないなら、もういいや。いつだって僕の心情は理解し尽くしてもらえない。
何を信じれば良かったのか、誰に打ち明ければ良かったのか、これから君も僕が味わった辛苦も苦痛も知ることになるだろう。
その傍らで話を聞いて支えてあげたいけど、僕は君を呪い呪い、何度も呪ったから、先に死んでいくだろう。
もっと真っ直ぐともだちでいられたらな。仲間でいられたらな。
どうせ失われてしまうとしても、こんな形は嫌だった。
失わずに済むと思えるなら、もっと早くに死んでおけば良かったんだ。
PR
Comment
最新記事
(04/22)
(04/12)
(03/06)
(01/22)
(10/04)