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ふらみいの、とうかの、言葉吐しと成長録

 許したら楽になれる? 楽になるために許す?
 誰かがしてきた所業を許して、ひとつ上の次元の人間に自分がなれたとして、それってどういう意味があるの?
 そんなことも解らないから、誰かを許せないままなのかしら。そうかもしれない。

 近頃、ふと考えついて居座ってしまうものの中に、あの子を許すという選択肢がある。
 さんざん悲しみ、苦しみ、呪い、殺そうとまでしていただろうものを許す。この二年でそこまで至るには、どれほどの葛藤と思考の積み重ねがあったか。
 相手が許しを得るならまだしも、僕から先んじて許そうとは、どういう心境の変化だろう。

 無論、僕自身がどれだけ相手を憎み、呪ったかを忘れたわけではない。あの半年余りで心身はかなり削れたし、新しいモノを生み出しもしたのだから。
 だけど、その新しいモノが絶えず相手を呪い、蝕む姿を見ても、僕の心が晴れることはない。
 というか、そんなことで晴れるわけがないと知っていた。知っていたけど、他に苦痛や悲哀を誤魔化す手段が無かった。誰に責められたとして、誰も他に提案など持たなかっただろう。

 生きている間にどんな時間の遣い方をするのかなんて、個人の自由だ。
 僕はそれをまた相手のために遣った。呪い、蝕み、蔑み、嬲り、その行く末を何代にまで亘っても穢してやろうと躍起になった。
 結果は知る由もないが、やっぱり僕にはそっち方面の才能が無いので、大したことは起きていない。姉さんみたいにはなれない。
 そんなところでも自分の才能の無さを痛感して、また嫌になった。僕は僕の仇を取ることも、まともにできない。

 それから歌の師匠に逢い、特別な処置を施してもらい、お祓いを受けに行ったり、周りの友人に全て話したりして、だいぶ荷物を軽くした。
 みんな言ってくれたし、教えてくれた。
 捨てられたわけではない、と。
 ただ、とても難しい話だから、相手がもっと慎重にやる必要があったんだ。
 そのことで君がもう苦しむ必要は無い、と。

 僕は僕が苦しむのを終わりにしたかった。でも、実際にもう終わりだよって言われると、本当にそれでいいのか解らない。
 相手を呪った手前、まだ苦しむのも道理とどこかで思っていた。成功しようが失敗しようが、僕が相手に攻撃的なものを剥けたのは事実だったから。
 と、同時に相手がそれで自分のしたことを思い知ればいいと思った。

 誰かに誠実であるために、他の誰かを不誠実に切ること。それが人間の言う誠実なんだね。
 人間は生めよ殖やせよが何よりも大事な目的だから、その番を守るためにしたことを絶賛する傾向にある。
 この場合で言えば、僕を捨てた方が世間はあの子を称えるということだ。
 その前段階であの子が何をしたとしても、僕がどれだけ傷付いていたとしても、明るみに出なければ無かったも同然だ。
 人間で良かったじゃないか。君がどれだけ醜いことを行おうとも、誰もそれを知らなければ、君を清く正しいと相変わらず称えてくれる。そうして君の自尊心は守られる。
 その犠牲になったものを顧みることのない人間が産みだす次の人間を、僕はごみか何かのように感じる。

 でも、それも許せる? 許せるようになる?
 相手の良いとこをばかりを見てはいけないと、タロットから教わった。下手に相手を美化して自分を卑下しなくていい、と。
 真実を知る者は皆知っている、あの子が醜いことを、僕もまた醜いことを。
 人間は見たいものしか見ないし、信じたいものしか信じないから、真実なんて無くても平気な存在だ。
 その外側を知る人達だけが、真実だの真理だのに拘る。正しく在ろうとする。僕はどっちだろう。

 正しく在りたいんじゃない、ただ悲しくて悔しくて、誰かにそれを知ってほしかった。本人に一番知ってほしかった。
 お前の所為でこうなったんだぞ、と、今までそんな責め方をしたことないけど、初めてそういう責め方をしたくなった。いや、もうしている。
 自覚しろ、自分の愚かさと醜さを。そんなことをしたら心が壊れる?
 そんな心、壊してしまえよ。生まれ変われ。自分がどの程度のものか自覚して、そこから強くなれ。

 目の眩んだ人には解らない。物事をただ客観的に見る人だけが知っている。総体の中の個体であることより、ただの個体として生きたい者が知っている。
 僕はあの子に救われた。ずっと信じ切っていた。依存していた。執着していた。大好きだった。
 こんなことになって、自分はやっぱり選ばれない、捨てられる存在なんだと思い知った。母に感じた絶望と同じものを感じた。二度も捨てられた。姉さんのことも合わせたら、これで三度目。壊れるには充分だ。
 だけど、許そうとしている。言いたいことも、感じたことも山ほどあるけど、またあの子と話したいと思っている。

 新しいことを始めようとした中に、この一ヶ月くらいだけど、ルーン占いがある。
 ルーンは実直に教えてくれる。その結果が興味深くて、心に波紋を起こした。
 あの子を支えたいということに関しては、まだ待てという。僕には足りないものがあるらしい。
 また会えないかと訊くと、誰かの助けで成せるかもしれないと示す。ギューフ、ケン、ラド、それからウィルド。
 特にウィルドは何度か出てきた。この結末がどうなるかは僕らの与り知らぬところの話で、その流れに身を任せよと言っているのだ。
 そういえば、他の結果でも「流れに身を任せろ」とか「耐え忍べば良い未来を手繰り寄せる」といったことを言われた。
 他の占いをやってもそうだったけど、耐えるっていつまでなんだ。一生耐えろということか。

 この人生が終わったら、次は何を味わうことになる?
 今は人間であることの難しさと楽しさを知る段階だ。次は別の存在となって何かを学ぶことになるだろう。
 そうやって学びを重ねた後、僕は帰るべきところへ帰る。それは疑っていない。
 でも、ポポルとアシアのことをふと思い出す。彼らの住む次元に行きたいと思った、ちょっと会ってみたくなったのだ。
 それにはだいぶ無理をしないといけない。僕にはまだそれだけの力が無い。
 想像の翼は小さく、次元を越えるだけの体力が無い。けど、僕にできないことではない。
 それもまた学びとなって、僕を大いに成長させるだろう。
 狂人の他愛ない戯言と受け取ってもらって構わない。僕は夢を見るために生きていて、その夢が果てしないほど燃える。

 その傍らで、人間として生きていくなかで、ただ許すことができれば楽になれるかなって。
 あの子といがみあっているわけではないが、何かあったら話して解決できる仲ではあったと思う。
 お互いのこと、もう少し大事にできれば、こんな結末を防げたろうに。
 けど、それにばかり囚われても、僕は悲しいままだし、どこにも行けない。あの子だけが大事なわけではない。
 あの子が居てくれて良かった。でも、今回のことはさすがに傷付いた。あの子が認めないだけで、あの子は僕に酷いことをしてきているけど、その中でもダントツに酷いんだよ。知っておいてほしい。
 だけど、僕はそれを許そうとしている。それも愛情かもしれない。呪っても、蔑んでも、最後には話したい。それだけのものを僕は誰かに向けることができるんだ。

 人間的な成長を重ねたら、僕は僕の唯一無二と出逢えると期待している。
 今度こそ力ある相方となって。一緒に苦難を乗り越えようとして。僕との関係を守ろうと、真剣になって。
 それは契約を結んだポポルとアシアが如く。約束も誓いも鎖と重しになって、それでも二人だけの関係を何とか昇華させようとした、それが奇跡だった。
 僕の世界に馴染むものを、きっと見つける。大事にさせて。
 罪を犯した僕でもまだ、誰かを許して力になれると証明したい。

 それでも、今はまだひとりぼっち。何かが起きる気配をずっと感じている。
 ゆっくり許す。何があったかを忘れるわけじゃないけど、それだけじゃなかったことを僕はずっと憶えている。
 だから許せない。それから許す。そんなややこしいことができるのは、僕が僕のままでいたいからだと思う。あの子が好きだからだと思う。愚かだとも。

 また会えるのを楽しみにしている。現世でも、来世でもいいけどさ。
 今度は逃げないでくれ。最後まで信じたい。

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