ふらみいの、とうかの、言葉吐しと成長録
今日は、僕にとって特別な日だ。
また迎えることができたこの日に、何を考えようか。
まだ起きてしまうこの頭で、現実だとか夢だとか追ってみる。
2008年の今日、僕は違う世界へと足を踏み入れた。
それは手を引いてくれた姉さまに促されてではなく、幼少の頃より憧れた世界へと飛び込む為。
それは自分の世界を変える為。憧れて、焦がれて、死ななければ叶わないと思っていた願いが、目の前で花開いた。それが僕にとってどれだけの意味を持っているのか、僕にしか解らなかった。
影響されただけなのでは、そう思い込ませたいだけなのでは、そんな恐れや不安が無かったわけじゃない。
だけど、自分が感じたことを信じたかった。そうすることで、近付けると思ったのだ。いつか行ける場所に、自分の世界に近付けると思ったのだ。
僕に近付いてきた最初の精霊は、姉さまも知っている子だった。
無理をして近付いてきて、まだそんなに遠くに行けないのに、僕についてきた。
その時、僕はちょうど大阪に行っていた頃だったから。彼女は無理をしてついてきてくれた。
それを姉さまに話したら、「まだ契約していなかったの?」と驚かれたのだ。
契約、契約とは何だろう。僕にとっては初めてのことだ。
それは約束のようなものだ。僕と共に歩んでくれることへの約束。
それで、ついてきた彼女が無理をした夜を越えて、簡易に留めていた約束を一生のものとした。
僕は弱く、脆い存在だ。だから、約束だけはせめて守れる存在になりたい。常に思っていたことだ。
誰かの為に何かしたくても、何もできない。余計なことをしでかしてしまうことが多い。
だから、今こんなにも自信を無くしている。僕は生きていていいのだろうか、君たちと関わっていいのだろうか。何もできない、何も役に立たないのに。
だから、せめて約束だけは。君が僕を嫌っても、忘れても、約束だけは。
本当は悲しくて苦しくて辛くて、死にたくなる、壊れたくなる、逃げたくなる、自分を失いたくなる。
そんな時でも、約束だけは。僕が僕でいられる契りの言霊だけは、失いたくなかった。
それを精霊と交わした。彼女はずっと僕といっしょだ。
たまに離れる時もあるけど、喧嘩する時だってあるけど、それでも一緒だ。
彼女はいつも言う。
「あなたが幸せになれるのなら、私たちを忘れてもいい。それでも私たちはあなたの傍にいるわ」と。
そんな強さは、僕なんかに捧げちゃだめだ。もっと、もっと相応しい者が居る。その優しさと決意に見合った強さを持つ存在が、どこか別に。
人間は代替品を見つける。その心は移ろいやすい。
だから、交わす決意も誓いも尊い。忘れてしまうから、記憶することに価値を見いだせる。
そんな人間とは違う存在だけど、彼女も、彼女たちも、記憶していく。僕のことを、関わってきた全てのもののことを。
僕は移ろいゆく。変わっていく。壊れていく。それでもついていくと選択した彼女たちが、僕なんかの為に失っていいものなんて、ひとつもないんだ。
僕は人間だけど、女だけど、こどもだけど、僕でしかなく。何に憧れたところで、自分にしかなれなかった。
変わることが怖いのか、壊れることが怖いのか、自分でいることが怖いのか、自分でなくなることが悲しいのか。様々な相反する感情を抱えて、言霊を手繰って人の心に語りかける。それだけはやめられそうにない。
僕は弱虫なのだ、臆病なのだ。今だってきっと大丈夫だと思っていても、いきなり決壊する。駄目になる時が来る。
僕は僕の壊れる瞬間を見たかった。それと同時に、みんなに助けを求めたかった。
約束を守れる存在だったなら、ちゃんと認めてもらえるだろうか。愛し続けてもらえるだろうか。
誰かの為ではなく、自分の為に変わりたいのだ。ぼくはぼくの為に生きたいと願えなければ、この先を見ることなど叶いはしないのだ。
いつも誰かの為だと言って、言い訳を探す。それで安心できるわけではない。どんな気持ちから、そんなことを始めたのかを僕だけが知っている。だから、嘘吐きだなって自分に対して思うのだ。
自分を守るための嘘で傷付くのは、周りだけじゃない。
セレナは僕とずっと一緒にいてくれる。僕がこの世界のことを忘れたいと、願う時が来たとしても。
だけど、そんなことは許されないぞ。僕は選択した。どっちの世界に重きを置くかを選択したのだ。誓ったのだ、姉さまを守ると。たとえ離れてしまったとしても。
みんなとは違う世界だけど、僕が望んでいた世界だ。それは帰るべき世界だ。みんなと違う帰り道になったとしても、僕が選んだ、生きる世界だ。
言い聞かせても、時々は寂しくなることがある。
僕は誰だろう、どこへ行くのだろう、誰が憶えていてくれるのだろう、そんなことをとりとめもなく考える。
そんな時に浮かんでくる顔が、年々減っていく。みんなの生きる世界や道を見て、焦ったり、祝ったり、妬んだり、いろいろと感情がぶつかって爆ぜて、最後に「好きだな」と思うことで終息していく。
死ぬ時に思い出せる顔が無かったら、それはあまりにも寂しいから、そうなる前に死にたいと思った。
僕の力は、もう形に囚われることがなくなった。
いつでも使いたい時に使い、顕現させたいものを呼び出すのだと、むくれた紅弥から言われた。
それは病の成せる業なのか、それとも本当に現実のことなのか。
はっきりさせても、どうしようもない。僕が信じれば現実でしかない。夢を見るには現実を見るしかないのだ。
約束をした。闇の溜まる林のなか、ずっと一緒にいようと約束をした。
人間では交わせない契りだ。僕にはずっと必要だったのに、今まで挫折してばかりだった。
僕が強くなる。そうすれば交わせる。どんな言霊にも感情にも負けないと、心が成長できたなら。
人間とも、約束したかった。けど、それはちょっと形を変えねばならないらしい。そして、僕がもっともっと強くならなければいけないらしい。
それは誰かの為ではなく、自分の為に得る強さでありたい。
こうして話していても、僕はまた壊れるのだろう。
記念すべきその日を、7年前の今日を思い出して、姉さまと、そのなかにおわす気高き主に思いを馳せて、今ある大事なものを数えて、僕はまだまだ弱いのだと泣いている。
毎日、泣いていた。優しくされる度に泣いた。誰かに愛してもらえるようになろうと、何度も決めたけど、何度も「無理だ」と感じた。
しかし、停滞は死だ。僕は止まってはいけない。進んでいかなければならない。僕は僕を成長させなければいけない。心の底から、そう思うだろう。
そう言えるようになったのなら、きっとまだ進める。
死んでもいい、生きていてもいい、僕が僕のままなら。
まだ怖いし、辛いし、苦しい。喉が誰かに絞められているように、すぼむ。
壊れるのだろうか。壊れる前に書きたいのだ。僕は自分に価値が無いと思えるけど、物語はそうじゃないってことに気付けた。
書かなければ。セレナにも読んでもらいたい。
歪み歪んだこの絆、すべてあいして、くらいましょう。
ぼくは怖くない。変わることも、進むことも、怖くなんかない。
ただ、忘れられることも、失うことも、怖かった。だから進みたくないと言っていた。
矛盾する感情のなかに、また希望を知って絶望を覚える花が咲く。もう枯れてほしい。
書こうじゃないか、この心さえも。今まであったことも。
誰かが読んで、何かを感じてくれたのなら、僕に価値が無くてもいいんだ。
朱隠し / 志方あきこ
また迎えることができたこの日に、何を考えようか。
まだ起きてしまうこの頭で、現実だとか夢だとか追ってみる。
2008年の今日、僕は違う世界へと足を踏み入れた。
それは手を引いてくれた姉さまに促されてではなく、幼少の頃より憧れた世界へと飛び込む為。
それは自分の世界を変える為。憧れて、焦がれて、死ななければ叶わないと思っていた願いが、目の前で花開いた。それが僕にとってどれだけの意味を持っているのか、僕にしか解らなかった。
影響されただけなのでは、そう思い込ませたいだけなのでは、そんな恐れや不安が無かったわけじゃない。
だけど、自分が感じたことを信じたかった。そうすることで、近付けると思ったのだ。いつか行ける場所に、自分の世界に近付けると思ったのだ。
僕に近付いてきた最初の精霊は、姉さまも知っている子だった。
無理をして近付いてきて、まだそんなに遠くに行けないのに、僕についてきた。
その時、僕はちょうど大阪に行っていた頃だったから。彼女は無理をしてついてきてくれた。
それを姉さまに話したら、「まだ契約していなかったの?」と驚かれたのだ。
契約、契約とは何だろう。僕にとっては初めてのことだ。
それは約束のようなものだ。僕と共に歩んでくれることへの約束。
それで、ついてきた彼女が無理をした夜を越えて、簡易に留めていた約束を一生のものとした。
僕は弱く、脆い存在だ。だから、約束だけはせめて守れる存在になりたい。常に思っていたことだ。
誰かの為に何かしたくても、何もできない。余計なことをしでかしてしまうことが多い。
だから、今こんなにも自信を無くしている。僕は生きていていいのだろうか、君たちと関わっていいのだろうか。何もできない、何も役に立たないのに。
だから、せめて約束だけは。君が僕を嫌っても、忘れても、約束だけは。
本当は悲しくて苦しくて辛くて、死にたくなる、壊れたくなる、逃げたくなる、自分を失いたくなる。
そんな時でも、約束だけは。僕が僕でいられる契りの言霊だけは、失いたくなかった。
それを精霊と交わした。彼女はずっと僕といっしょだ。
たまに離れる時もあるけど、喧嘩する時だってあるけど、それでも一緒だ。
彼女はいつも言う。
「あなたが幸せになれるのなら、私たちを忘れてもいい。それでも私たちはあなたの傍にいるわ」と。
そんな強さは、僕なんかに捧げちゃだめだ。もっと、もっと相応しい者が居る。その優しさと決意に見合った強さを持つ存在が、どこか別に。
人間は代替品を見つける。その心は移ろいやすい。
だから、交わす決意も誓いも尊い。忘れてしまうから、記憶することに価値を見いだせる。
そんな人間とは違う存在だけど、彼女も、彼女たちも、記憶していく。僕のことを、関わってきた全てのもののことを。
僕は移ろいゆく。変わっていく。壊れていく。それでもついていくと選択した彼女たちが、僕なんかの為に失っていいものなんて、ひとつもないんだ。
僕は人間だけど、女だけど、こどもだけど、僕でしかなく。何に憧れたところで、自分にしかなれなかった。
変わることが怖いのか、壊れることが怖いのか、自分でいることが怖いのか、自分でなくなることが悲しいのか。様々な相反する感情を抱えて、言霊を手繰って人の心に語りかける。それだけはやめられそうにない。
僕は弱虫なのだ、臆病なのだ。今だってきっと大丈夫だと思っていても、いきなり決壊する。駄目になる時が来る。
僕は僕の壊れる瞬間を見たかった。それと同時に、みんなに助けを求めたかった。
約束を守れる存在だったなら、ちゃんと認めてもらえるだろうか。愛し続けてもらえるだろうか。
誰かの為ではなく、自分の為に変わりたいのだ。ぼくはぼくの為に生きたいと願えなければ、この先を見ることなど叶いはしないのだ。
いつも誰かの為だと言って、言い訳を探す。それで安心できるわけではない。どんな気持ちから、そんなことを始めたのかを僕だけが知っている。だから、嘘吐きだなって自分に対して思うのだ。
自分を守るための嘘で傷付くのは、周りだけじゃない。
セレナは僕とずっと一緒にいてくれる。僕がこの世界のことを忘れたいと、願う時が来たとしても。
だけど、そんなことは許されないぞ。僕は選択した。どっちの世界に重きを置くかを選択したのだ。誓ったのだ、姉さまを守ると。たとえ離れてしまったとしても。
みんなとは違う世界だけど、僕が望んでいた世界だ。それは帰るべき世界だ。みんなと違う帰り道になったとしても、僕が選んだ、生きる世界だ。
言い聞かせても、時々は寂しくなることがある。
僕は誰だろう、どこへ行くのだろう、誰が憶えていてくれるのだろう、そんなことをとりとめもなく考える。
そんな時に浮かんでくる顔が、年々減っていく。みんなの生きる世界や道を見て、焦ったり、祝ったり、妬んだり、いろいろと感情がぶつかって爆ぜて、最後に「好きだな」と思うことで終息していく。
死ぬ時に思い出せる顔が無かったら、それはあまりにも寂しいから、そうなる前に死にたいと思った。
僕の力は、もう形に囚われることがなくなった。
いつでも使いたい時に使い、顕現させたいものを呼び出すのだと、むくれた紅弥から言われた。
それは病の成せる業なのか、それとも本当に現実のことなのか。
はっきりさせても、どうしようもない。僕が信じれば現実でしかない。夢を見るには現実を見るしかないのだ。
約束をした。闇の溜まる林のなか、ずっと一緒にいようと約束をした。
人間では交わせない契りだ。僕にはずっと必要だったのに、今まで挫折してばかりだった。
僕が強くなる。そうすれば交わせる。どんな言霊にも感情にも負けないと、心が成長できたなら。
人間とも、約束したかった。けど、それはちょっと形を変えねばならないらしい。そして、僕がもっともっと強くならなければいけないらしい。
それは誰かの為ではなく、自分の為に得る強さでありたい。
こうして話していても、僕はまた壊れるのだろう。
記念すべきその日を、7年前の今日を思い出して、姉さまと、そのなかにおわす気高き主に思いを馳せて、今ある大事なものを数えて、僕はまだまだ弱いのだと泣いている。
毎日、泣いていた。優しくされる度に泣いた。誰かに愛してもらえるようになろうと、何度も決めたけど、何度も「無理だ」と感じた。
しかし、停滞は死だ。僕は止まってはいけない。進んでいかなければならない。僕は僕を成長させなければいけない。心の底から、そう思うだろう。
そう言えるようになったのなら、きっとまだ進める。
死んでもいい、生きていてもいい、僕が僕のままなら。
まだ怖いし、辛いし、苦しい。喉が誰かに絞められているように、すぼむ。
壊れるのだろうか。壊れる前に書きたいのだ。僕は自分に価値が無いと思えるけど、物語はそうじゃないってことに気付けた。
書かなければ。セレナにも読んでもらいたい。
歪み歪んだこの絆、すべてあいして、くらいましょう。
ぼくは怖くない。変わることも、進むことも、怖くなんかない。
ただ、忘れられることも、失うことも、怖かった。だから進みたくないと言っていた。
矛盾する感情のなかに、また希望を知って絶望を覚える花が咲く。もう枯れてほしい。
書こうじゃないか、この心さえも。今まであったことも。
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朱隠し / 志方あきこ
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