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ふらみいの、とうかの、言葉吐しと成長録

 タイトルで一発で惹かれてしまい、そのうちラフな気持ちで観ようと思っていた映画。
 あらすじ読んでもタイトル見ても「これはB級のアニマルパニックな映画だな!」と期待させてくれていたので、近所のパン屋で昼ご飯を買って、ほくほくしたまま視聴。
 結果、思っていたよりもしっかり作られていたって感じたので、自分のセンサーもまだまだなんだなと思い知りました。
 ガッツリとネタバレしながら感想を。





 作中の年代がやけに古いと思ったら、1985年にアメリカで実際にあった、麻薬密売業者が大量に投棄したコカインを吸ったアメリカクロクマが死ぬという事件をモチーフにしているとのこと。
 確かに映画の中でも、冒頭でFBIに追われている密売業者が、ノリノリの音楽で踊りながらセスナ機からクスリの入った鞄を次々と捨てていき、最後には自分もパラシュートで飛ぼうとしたが足を滑らせ、頭を打ったことにより気絶したまんま落ちるという間抜けな最期を遂げている。
 実際はこんなことになっていないだろうけど、大量のコカインを森に捨てまくったのは事実らしい。
 それを摂取したアメリカクロクマは、現実にはそれが原因で死んでしまったようなのだが、今作ではラリラリになって更にコカインを求め続けるという、超凶暴なクマさんへと進化していた。

 と、上述の内容でもう映画のあらすじになっているので、あとはさっくり。
 このコカインを元々売ろうとしていた密売組織のボス、その息子と売人、組織を追っている犬好きの警官、コカインを落とされた森のレンジャー部隊に所属する女性、その女性が惚れ込んでいる動物学者(だったのだろうか)、レンジャー部隊の店で万引きを働くニューヨークに一緒に住みたいチンピラ三人組、森にある秘密の滝にスケッチをしに行った女の子と友達、その二人を追う母親など、そこそこの人数が入り乱れる。
 そこを引っ掻き回すのが渦中のクマ。コカインを摂って凶暴になった母クマ。
 元はアメリカクロクマという種類だけど、ちょっと脚色を加えたらしく、見た目はわりとマレーグマっぽい。調べてみたら、マレーグマの動きが今作のラリックマのそれに近いから参考にしたみたい。
 北海道を騒がせるヒグマも動画などで観ると大きいし、かなりの威圧感を誇っていたけど、このラリックマもなかなか大きくて怖い。動物はみんな怖いね。

 この映画で評価したいのは、このラリックマのCGがかなり力の入っているところ。
 ごめんなさい、B級だって思っていたから、どこぞのア●イラムよろしく、テキトーな笑えるCGであんまり全身も見られず、素っ頓狂な登場人物のびっくり翻訳日本語で笑う内容だと思っていたんです。
 だけど、このラリックマがよくできている。動きから息遣いから、毛の一本一本までちゃんと作られていて、ちゃんと怖い。
 裏付けるのは映像の凄さだけではなく、クマの行動や習性もきちんと描かれている点にあると思う。全てのクマに共通する項目かは解らなかったけど、木登りできる、走るとめちゃくちゃ速い、物に対する執着心が異常に強いなどなど、昨今で解ってきたクマの習性が要所に垣間見えるので、あんまりツッコミどころが無かった(個人の意見です)

 それから惜しげもなく人が死ぬ。ばんばん死ぬ。さっき挙げた人達の半数以上が死ぬ。
 原因はクマなわけだが、このクマもコカインを求めているだけなので、例えば服にコカインがついていたとか、コカインのバッグを持ち去ろうとした人間については容赦が無い。そういう人達は何かしら惨い死に方をしている。
 クマにとっては邪魔者を排除しているだけで、人間の味を覚えたから襲っているというふうには見えない。それが尚のこと恐ろしい。

 人々の死に方はとってもグロテスク。足を千切られる、内臓を引きずり出されるなんて当然で、そのクマを退治しようとした人の流れ弾で誰かが死ぬこともしばしば。
 個人的にはレンジャー部隊所属のおばちゃんには助かってほしかったな。一度生還して救急車にも乗れたのに、結局は開いたままのドアからストレッチャーごとすっとんで、顔を地面にガリガリやりながら(恐らく)失血死してしまった。エグみのある死に方だなぁ、と。
 運転していたおばちゃんもシートベルトしてなかったから、木に救急車が衝突した弾みでフロントガラスを突き破って死んでしまったもんな。やっぱりシートベルトはした方がいいんだ。まぁ、あんな状況で暢気にベルト締めていられなかったと思うけど。

 会話とかテンポはコメディっぽいのに、ちゃんとグロが入っているところがびっくりさせられたかしら。
 気合いの入ったグロだけど、無理のないグロ。言ってしまえば必要なグロだったので、すんなり見られはした。したけど、人に勧められるかというと、かなりのもんだから考えてしまう。

 キャラクターとして好きだったのは、先述のおばちゃん、それから密売組織のボスの息子とその友人だろうか。いや、みんなそれなりにキャラが立っていて面白かったんだけどね。
 ボスの息子が嫁さん死んじまったとかで、出てきてからしくしくしくしく泣いているのが印象的でね。嫁さんとの間にできた子どもは、じいじ――組織のボスに任せて飲んだくれているというダメっぷりが、とても人間味ある。
 その息子に嫌々ながらも付き合っている友人も、密売人ではあるけど良い奴なんだよな。トイレでチンピラ三人組に絡まれた時、息切れしながらも三人を叩き伏せた辺りがリアルだった。リアルな強さ。年相応っていうか。

 この映画には子どもも出ていて、もしかしてこの子らも餌食にされてしまうのか!? と思っていたが、さすがにそれは無かった。
 母親の再婚相手に不満を持つ聡い娘と、その娘に言いたい放題言える頭のネジの緩んだ少年と、個性が強い。二人の会話はなかなか癖になる。
 とはいえ、子どもがやられてしまうってなると、さすがにキツかったか。コカイン食べたりしたから、その場で食い殺されても可笑しくなかった気がするけども。
 子どもも死んでしまうような残虐シーンって、海外でも規制されていたりするのかな。

 総じて評価の高い映画。面白かった。最近ずっとサメ映画やモンスターパニックでしょぼいのばっかり観ていたから、骨のある映像が続いて頭が混乱している。

 にしても、野生のクマに遭ったら走らないでいられるかな。自分なら走って逃げてしまいそう。
 安全圏から映像だけ見て「成程、こう対処すればいいんだな」って言ったって、実際にその場に立たされたらできるかどうか。
 地元の山ではツキノワグマの痕跡が見つかったとかで、ちょっとした騒ぎになっていたけど、ヒグマやアメリカクロクマより小さいったってクマはクマだからなぁ。見つかったら死を覚悟するし、冷静でいられないよね。

 コカインが空から降ってくるって現象もあんまり起きないことだとは思いますが、クマの突然変異には注意しましょう。

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