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ふらみいの、とうかの、言葉吐しと成長録

 例の怪獣映画を勧めてくれたフレが満を持して勧めてきた、気になっていたタイトル。
 振り返れば『バトル・シップ』を観た頃くらいに名前を見かけていて、同じような感じかな~気になるな~なんて思いながら、結局観る機会が無いまま、ここまで来てしまった。気が付いたら十年。
 勧めてきたフレの感性と度々重なることが多く、怪獣映画を嗜むようになった今なら観られるんじゃないかと思い、視聴を開始。
 ギレルモ・デル・トロ監督の作品は幾つか観ていたので、映像もきっと綺麗なんだろうなぁと期待しながらのことだった。

 結論から言えば満足。映像美、機体のかっこよさ、怪獣の容赦の無さなど、あらゆる点で楽しませてもらったと思う。
 人間ドラマと見せたいバトルとの比率が、デルトロさんだったらこうなるだろうって予想の範囲内だったので、熱くなり過ぎることもなく、かといって冷めることもなく。良い塩梅で楽しめたんじゃないだろうか。

 デルトロさんの映画を観ていて常々感じてしまうのは、映像は綺麗なんだけどあともうちょっとだけ何か欲しいなっていう、何某かの欲。
 観たのがホラー作品ばっかりだからそう思うのかもしれないが、あともうちょい、もう少し、これだけでいいから一つまみの何かをくれって、いっつも感じてしまう。それだけデルトロさんの作品に感応して期待しているんだろうけど。
 『パンズ・ラビリンス』、『クリムゾン・ピーク』、『MAMA』と観てきて、「もう少し何かあるんじゃないか!?」と思って待っているけど、起きずに終わるということが多い。
 じゃあ何を求めているんだって言われると、何だろうな。何かが足りない、もっと欲しい、いろいろ当て嵌まるけど、そう感じているということだけは確か。

 ただ、映像は本当に綺麗だよね。小道具ひとつ取っても凝っているから、画面の隅々まで観察しようという気になる。
 特にそう感じたのはパンズ~とクリムゾンかな。クリムゾンは時代も相まって、女性の着るドレスが豪奢で、見ていて楽しかった。

 今回はホラーではなく、怪獣映画に分類される・・・・・・んだろうか?
 ホラー以外のデルトロさんってどんなんかしらって、先入観を捨てて観ていたつもりなので、だから満足したのかもしれない。

 吹替版の声優陣が豪華と聞いたので、吹替版で観たけど、本当に大御所ばっかりだったな。
 玄田さんはシュワちゃんの吹替とかやっていたから違和感無いのは解っていたけど、杉田さん、めぐさん、浪川さん、古谷さん、池田さん、千葉さん、三ツ矢さんって面子がすっごい。
 そして吹替版らしい自然な演技で、アニメ色をあまり感じなかった。めぐさんと古谷さんとか、声がそれっぽいけど違う方か? って、最初は気付けなかったくらいだ。
 ここでやっとアニメの声優と、洋画の吹替声優の演技ってこんなにも違うのかと認識させられる。でも、どっちの声優もどっちの現場に行ったって完璧な演技をするんだから、プロって凄い。なんて薄っぺらい感想だ!

 あとはネタバレ必須の感想。
 この後にまた『バトル・シップ』観ようと思っていたけど、満足していたから観ませんでした。
 あんまりたくさん観たらアドレナリン出過ぎて、誰かに語らないと済まなくなってしまう!







 良い点ばっかり挙げてきたけど、不満を挙げるとするなら、ロシアの夫婦と中国人の兄弟の活躍がもっと見たかった・・・・・・。
 せっかく個性のある機体で出てきたんだから、あれやこれや善戦してほしかったんだけど、怪獣が二体も出てきたから、そんな場合じゃなかったかな。
 イェーガーの数は元々少なく、搭乗できる人間も限られるようなので、量産できないのが辛いところ。
 だからこその各国の特色ある機体、パイロットだったので、存分に活躍してほしかった。

 あと、パイロット同士の訓練で長物を使った戦闘をやってくれると思っていなかったので、そこが嬉しかったな。
 そこで光るのが日本人の演者さん。引き締まった身体で繰り出す一撃が純粋にかっこよく、動きもキビキビしていたな。女性の長物使った戦闘って良いよね。

 兄を喪った主人公と、過去の経験により怪獣を憎むマコさんのコンビで、旧型の機体で活躍するってのがまたいいんですよ・・・・・・!
 電磁波とか出してくるんだ、順調に学習しているな怪獣~って感心していたら、どうやら怪獣の第二の脳とドリフトした科学者の影響なんだとか。ちゃんとここで設定が活きているのがいいな、素直に感心した。
 そこからの危機に駆けつける、旧型イェーガー。コンテナやら船やらを使って殴り、蹴倒し、摑み摑まれの大乱闘。泥臭い戦い方だけど、それがいい。スタイリッシュな戦闘も好きですが、どっちも余力無さそうだなって状態からの本気の拳とか、やっぱ最後はステゴロよって熱くなれる。

 でも、武器が出てくるのも良いよね。蛇腹剣が好きなので、剣が出てきた時に滾りました。
 次元の穴の近くで襲われた時の倒し方が大好き過ぎる。向かってきた怪獣を真っ二つにしたやつね。そうはならんやろって言われるかもしれないけど、ロマンのある倒し方だ。

 怪獣のデザインについては、ぱっと見て「モンハンぽい」と感じてしまった。どこか親近感のある顔。
 だけど、実はあいつらがクローン技術で生成されていて、情報を共有しながらどんどん強くなるって解った時、陰で暗躍する宇宙人? どこから来たんだあいつら? その黒幕らが浮き彫りになって、惜しいような納得したような。
 怪獣は怪獣で独立した存在として扱ってほしかった、というより、そういう映画ばかり観てきたから、「怪獣をクローン技術で造りだし、地球を支配してやる!」て奴らが居るって展開にオーソドックスさを感じて、ちょっと物足りなかったかも。
 それなら次元の穴が開いているだけで、怪獣は人間を捕食しに来ているってシンプルな話でも良かったなーとか・・・・・・まぁ、黒幕が居て明らかに人類を狙っているって方が、お話としてはきれいか。

 観ている間は「うおおおお熱い!」て興奮していたけど、うるっときたのは親父が息子を送り出すところかな。
 ここもなー、息子を死地に送るってどんな気持ちだったんだろう。逆じゃないのかって思ったけど、今までの指揮官の役割を果たせるのは、あの親父さんしか居なかったんだよな。場面を見せなかっただけで、息子も「親父は残れよ」とか言っていたかもしれない。
 その親父と息子が最後に和解するような展開を見せて、死ぬと解っていてもイェーガーに乗る指揮官に向かって「息子を預けたぞ」っていう辺り、心情を察するに余りある。
 というか、頼んだ指揮官だって親父さんの親友なわけだから、あの親父さんは死んでしまうと解っていて息子と親友を見送り、自分の仕事に専念したのか・・・・・・なんという気概か。
 この親父さんの声を池田さんがやっていたわけだが、アニメの時の演技よりも好きだった。良き親父だった。だから涙腺にきたのかもしれん。

 戦闘の舞台となった香港を見ていて、ブレードランナーを何となく思い出していた。ネオンの看板と煙る夜の雨がそう思わせただけかな。
 映画で度々使われる中国の大都市って、何であんなに絵になるんだろうか。日本の東京や大阪じゃ、あんなふうには映らないだろうし・・・・・・建物が低い所為?
 日本は日本で『シン・ゴジラ』みたいな魅せ方がある、それは日本人特有の魅せ方だったりするんだろうか。外国の監督で日本を綺麗に映してぶっ壊した監督って、誰か居るのかな?
 大都市だとついつい被害総額や災害に見舞われた人数が気になってしまうけど(フィクションなのに)、戦闘での崩壊の様はド派手だから見応えがある。いいぞ、もっとやってくれ。

 科学者コンビが結構好きだったんだが、本当にド変態の領域だったんだな、彼らは・・・・・・普通、怪獣の脳とリンクして情報を引き出そうって思いついてもできないよ。できるからこそ、非凡で一目置かれる人達なわけだが。
 ただ、イェーガーにしろ怪獣の脳にしろ、別の生命体と繋がるってのは大変危険な行為ってのは、誰がどう考えても解ることなので、そんな方法を選んででも怪獣を倒したいってところに心意気を感じた。
 やっぱり遠隔でがちゃがちゃやるより、神経を接続して機体を動かした方が伝達速度も精度も段違いなのかな。僕だったら怪我した時のこととか考えちゃって、踏み出すことすらできなさそう。そのための兵士としての訓練があるんだね。

 誰かを守るために戦う人は立派だ。その決意と技術は称賛されて然るべきだ。でも、その人達だって同じ人間であり、怖くなったら逃げてもいいとも思うのだ。
 そういう人、出てきてもいいと思うけど、話が変わっちゃうかな。あぁ、兵士の家族とか映ってないだけで、そんな考えを持っている人はたくさん居るんだろう。

 一回観ただけではこんなもんで、何回か観たら『バトル・シップ』の時みたいに新たな発見があるかもしれない。燃えるポイントが出てくるかもしれない。
 またイェーガーの走り出す様を見よう。三点使って吹っ飛びを止めるところとか、いちいちかっこいい。


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