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ふらみいの、とうかの、言葉吐しと成長録

2日目、ゼリーを飲んで腹を下すも、リラックスするために音楽を聴く。
マンウィズで士気を上げ、分娩室へ。

何となくドラマとかイラストで見かけた、あの分娩台へ上がる。
点滴を二種類つけた。ブドウ糖と促進剤。
モニターもつけて、経過観察。
最初の頃はあまり変化は無くて、十時過ぎに主人が来て雑談する。
昼前になると、段々と痛みを感じるようになる。トイレも行きたくなる。
正午を過ぎる頃、子宮口を確認してもらったが3cmと言われて挫けかける。
その頃には結構痛みが出てきていて、スマホをいじる余裕が無くなる。

「14時頃まで続けてみて、開いてなかったら明日の朝に仕切り直しましょう。ゆっくりやっていけばいいですよ」
先生はそう言ってくれたが、結果を出せない自分に少し落ち込む。痛みは感じているのに。

この頃からおしるしが出始めて、まだ時間が掛かることを否応なしに認識させられる。
今日中に産めると思ったのに、と部屋の隅に設置された胎児用の小さな寝台を眺めていた。虚しい。

14時まで耐えるぞと思いはしたが、モニターの数値や山が高くなる度に、深呼吸だけでは乗り越えづらい痛みを感じるようになる。
重めの生理痛と言われれば確かに似ているが、それが断続的に続くのは逆に辛いと感じた。ずっと痛いのも嫌だが。
強い痛みが来る度に主人に腰の辺りをさすってもらうが、効いているかどうかは解らない。

先生から、「夜中にお産が始まるかもしれないし、先に針を入れておきましょう」と提案される。
無痛分娩を選択していたので、その件で。
先に針を入れた方が、別の担当の人も薬を流すだけで済むからと。
その処置をしてもらっている間、痛みにふぅふぅいっていた所為か、「少し薬を流しますか?」と訊かれて頷く。
「我慢できない痛み?」と訊かれて、力強く頷く。まだ流すタイミングでないのは解っていたが、これが何時間も続いて朝まで耐えるとか、全く考えられなかった。
この時点で日々続けていたあらゆる努力が無駄になった気がしなくもない。

15時過ぎに針を入れて、たぶん16時頃に薬を入れる。
痛みが段々と無くなり、下半身の感覚が誤魔化し効くようになる。
しかし、上半身は何だかむず痒くなる。
いつまでこの体勢でいるか尋ねると、夜勤交代で来た助産師はちゃきちゃき動きながら答えてくれた。
「一旦、薬を流し始めたら、止めると痛みがまたくるからね。明日の朝まではモニターと一緒につけたままかな」
なんという長丁場か。でも外すとあの痛みがくる。痛むくらいなら痒みに耐えよう、そう思った。

その頃の自分の姿は右側に点滴。
促進剤はもうやめていたが、熱が出てきていたため、抗生物質も流していた。
左側にモニターと、心電図。モニターは正確に胎児の居場所を掴んでいた。逃げ回っていたのは何だったんだ。
背中の針は固定されて、麻薬を注入し続けている。
トイレに行けなくなったので導尿してもらう。
この体勢で朝までか、と思ったけど、痛みの方が嫌だった。

薬を注入し始めて三時間は経ったか、その頃から薬の効果を超える痛みが出てくるようになる。
助産師に訊くと「お産が進んで、本来の陣痛が始まろうとしているのかもしれない。薬は必ずしも痛みを全て無くしてくれるわけじゃないし、痛みが無いとお産は進まないから、そこは覚悟しておいてほしいな」と返され、半泣きになりそうだった。
いや、解っていた筈だ。ただ理屈や知識を覆すほどに、その時感じていた痛みが辛かった。
だが助産師曰く、無痛分娩で薬を流しているから今の痛みで済んでいる。薬が無ければ、あなたは今頃もっと痛くて叫んじゃっていたかもしれない。陣痛の痛みはこんなもんじゃない。
何とも恐ろしい事実ばかり出てくる。自然分娩を選んでいる人たちが歴戦の闘士か何かに思えた。

薬を度々流してもらいながら、たまにくる強い痛みには深呼吸をし、まんじりともせず過ごす。
主人は立ち会い希望だったので、分娩室に一緒に泊まってもらうことに。

23時かその後か、助産師に内診をしてもらって、子宮口が開いてきていることを確認。7cmだったか。
それでもいつ陣痛が来て産まれるかは解らないから、主人には休んでいてもらう。
いま来ている痛みより更に強い痛み、薬を使わない本来の痛みなど、痛みに関するあれやこれや知見が増えて、そら恐ろしくなる。
去年の捻転も痛かったが、あれは最長6時間で済んだりしていた。出産はそうじゃない。
人生の痛いよ記録、第一位に出産が上ってきたことは言うまでもない。


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