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ふらみいの、とうかの、言葉吐しと成長録

 長年続けていた向精神薬を夏頃にやめた。
 あれは確かに服用すると頭がぼんやりして、考えを抑制されるんだけど、その代わり、不可視の子らも視えにくくなる。集中できなくなる。
 その状態がずっと嫌だった。だけど、薬を服まないと精神状態は安定しないし、一度でも「死にたい」と思えば、それがずっと付いて回って、頭から離れなくなってしまうばかりだった。
 それも辛くて、十年近く薬を服用し続けた。すっかり頭はぼんやりして、それでもうだうだと考えては「まぁいいか」とお茶を濁すようなことが続いていた。

 去年の一件から、もうその時の薬では抑えきれないと思った。
 あまりにも激しくて量の多い怒りと苦痛だった。呪っても尚、全身から溢れるようだ。
 思考もすっかりそこに定着し、どうでもいい時にまで思い出してはくつくつと煮え滾る羽目になった。
 だったらもう不可視の子を遠ざけても意味がないと、開き直った。
 薬を服むのをやめて、不可視の子らと僕の思考と力とを受け入れ、狂いきってしまうその時まで生きてみようと思った。

 薬をやめてからすぐに解った。激情と衝動に駆られる時が多く、それをいなすために自慰を以て鎮火に当たるような日々だ。
 自慰行為は何でもいい。自分をいっときでも忘我状態へ導けるなら、どんな方法でもいい。
 均衡をどこで保っているかも解らないけど、危うい場所で生きているのだと解った。

 不可視の子らの存在をすぐに感じ取れるようになった。
 苦しい時、辛い時にその声がより鮮明に聴こえるようになった。前は聴こうとしなければ解らなかったが、今は自然と耳を傾けることができるのだ。
 それは十年前の状態に等しく、懐かしい思いで話をし続けた。

 薬をやめたら人間として生きづらくなる。
 だけど、僕のままではいられる。激情と衝動と感性の壊れた僕のままだけど、誰にも見てもらえなくても確かに存在できる。

 病院に行けば、そりゃ薬を勧められる。
「日常を上手く過ごせないなら、また薬を飲んだ方がいいと思いますよ」
 そりゃあね、そうだよ、だってそれが仕事だもん。お金欲しいよね。お金はこの人に入るのかな?
 薬を服用すると、それだけ本来の僕が閉じ込められる。後で助けようとして、その奔流に押し流される。
 薬を服まず、誰に頼ることなく、生きていけたらそれが最上だ。

 頓服として出された一錠を思い出して、服んでおいた。
 効いてくれているのか、少しだけ衝動が和らぐ。根本的な解決にはならない。
 薬の効果で少し眠くなるらしいけど、今朝見た夢は印象的だったから、あの続きなら見たい。

 頓服として自分でできる方法は、とにかく二次元の、想像の世界に浸ることくらい。
 これはずっと行ってきた方法だから、効果があるのは解っている。小学生の時から、物心ついた時から、絶対にこれだけはやめなかった。
 人から見れば未だ夢を見ているヤバい人、だけどそれでも僕は幸せ。
 だってあなた達はすぐに僕を捨てるから。捨てられた僕が夢を見ることまで規制できる人なんて、誰も居ない筈だ。

 頓服で助かったのは脳だけか、呪いも少しは治まるのか。
 次の世界に早く行きたい。死にたいというより、次に行きたい。
 ここで僕ができる役割なんて、そんなに多くないもの。もう次でもいいじゃないか。
 頓服のお蔭か、躁状態みたいな感じですか。でも、窓から飛び降りるのは怖くてできない。痛いのは嫌だ。

 ずっと壊れたままだから、治し方も解らない。
 人からすれば壊れてなくて、普通で、少しおかしいだけかもしれない。
 僕の中に残っているものが微かなのは、今まで溜めたものを切り崩して生きているからだ。
 いつかその貯蓄までも無くなったら、今度こそ死ねるのだろう。
 次の世界ではもっと仲良くしておくれ。命を懸けて共に明日を生きておくれ。
 きっと素敵な見目の生き物になる。そしたら、そばに居るのも許してもらえるかな。

 死んでも死んでも治らない。傷付いても傷付いても治らない。
 僕の心に罅が入って、不可視の子らの声がして、なのにあの子との思い出は一つも流れ出さず、僕に膿を与え続ける。
 薬でだってこの感覚は抑制できない。僕の心が広がり続けている。

 空の果てで何を考えているのか知りたい。僕に教えてほしい。
 薬が効いてきた。眠い。

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